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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻13号

2018年12月発行

症例報告

終末期の頭部血管肉腫に対してMohsペーストで局所コントロールを行った1例

著者: 渡部真奈1 羽尾貴子1 遠藤嵩大2 黒羽根系一1 鎌田英明1

所属機関: 1地域医療機能推進機構横浜中央病院皮膚科 2日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野

ページ範囲:P.1079 - P.1083

文献概要

要約 86歳,女性.頭頂部に生じた紫斑で当科を受診した.初診時,頭頂部に中央は血疱を呈する3cm大の紫紅色斑が1か所みられ,生検結果から血管肉腫と診断した.遠隔転移を認めなかったため,病変の切除および分層植皮術を行ったが,術後約1か月で,植皮部とは離れた後頭部に病変が出現し,その後も多発した.本人,家族ともに,これ以上の積極的な治療は行わず,可能な限り自宅で過ごすことを希望された.対症療法としてMohsペーストの塗布を試みたところ,出血,滲出液,悪臭のコントロールができ,在宅管理が可能となった.しかしながら,腫瘍自体の増殖は抑えられず,術後24か月で,骨破壊および硬膜浸潤をきたした.この時点でも遠隔転移は認めなかった.術後26か月,全身状態の悪化と疼痛のために入院し,呼吸不全にて永眠された.Mohsペーストは,低侵襲で簡便な緩和医療として,切除不能な表在性腫瘍に対して有用な方法の1つであると考えた.

参考文献

1) Mohs FE:Arch Surg 42:279, 1941
2) 増澤幹男,他:日皮会誌 125:1871, 2015
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9) 森田美穂,他:皮膚臨床 54:648, 2012
10) 重山昌人,他:医薬ジャーナル 41:2289, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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