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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻13号

2018年12月発行

症例報告

続発性皮膚ノカルジア症の1例

著者: 佐野友佑1 大場操1 白濱茂穂1 角谷拓哉2

所属機関: 1総合病院聖隷三方原病院皮膚科 2総合病院聖隷三方原病院呼吸器内科

ページ範囲:P.1091 - P.1094

文献概要

要約 83歳,男性.前立腺癌に対してホルモン療法を受けていた.当科初診3か月前に右前胸部に皮下腫瘤が出現した.腫瘤は次第に発赤,腫脹を伴うようになり,自壊したため当科を受診した.前立腺癌治療前のCT検査で右肺中葉末梢に結節影を認めており,呼吸器内科で経過観察中であった.右前胸部に自壊した皮下膿瘍を認め,わずかに粘稠度のある膿性滲出液を伴っていた.病変部からグラム陽性桿菌が検出され,培養の結果はNocardia abscessusであった.排膿により右肺の陰影が若干改善したため,肺ノカルジア症が皮下へ波及したと考えた.呼吸器内科でスルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤の内服加療が開始され,皮膚潰瘍は1か月後に上皮化した.肺から直接皮膚病変へ波及する疾患には放線菌,結核,原発性肺癌などがある.胸壁の潰瘍性病変では,基礎疾患の確認,病変部の生検や培養など総合的な検索が必要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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