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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻13号

2018年12月発行

文献概要

症例報告

BCG肉芽腫の1例

著者: 赤芝知己1 瀬底里美2 深野華子3 石井則久3 関根万里1

所属機関: 1東京都保健医療公社荏原病院皮膚科 2北千束皮膚科クリニック 3国立感染症研究所ハンセン病研究センター

ページ範囲:P.1095 - P.1099

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要約 2歳,男児.生後5か月で左上腕外側にBCGワクチン接種し,その後は排膿もなく常色皮膚となっていた.2歳1か月で同部位に発赤が出現し痂皮を伴う紅色局面があり,その後腫れて排膿もみられるようになり当科に紹介され受診した.初診時,左上腕外側のBCG接種部位に痂皮を伴う小豆大の浸潤を触れる暗紅色の結節あり.頸部,腋窩,鼠径部のリンパ節腫大はなかった.病理組織はLanghans巨細胞を伴う肉芽腫が島状にみられた.皮膚培養でMycobacterium tuberculosis complex陽性,multiplex PCR法ではBCG菌を検出し,BCG肉芽腫と診断した.加療は行わずに経過観察したところ,病変は自然消退し,略治した.BCG接種から1年8か月後に,発赤のない瘢痕から肉芽腫を生じた例は稀である.BCG肉芽腫は自然治癒しうる病変と考えられ,慎重な経過観察が必要である.

参考文献

1) 戸井田一郎,中田志津子:結核 82:809, 2007
2) 予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会,厚生労働省健康局健康科:予防接種後副反応報告書,集計報告書平成25年度分,No20
3) 関根万里:MB Derma 242:97, 2016
4) Tan HH, Seow CS:Ann Acad Med Singapore 31:663, 2002
5) 相川恵子,他:皮膚臨床 45:863, 2003
6) 大島理恵子,他:皮膚病診療 32:299, 2010
7) 又吉武光,他:日皮会誌 121:39, 2011
8) 戸井田一郎:資料と展望 48:15, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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