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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻2号

2018年02月発行

文献概要

症例報告

ボルスター縫合固定法を用いた耳介形成により良好な経過を得た耳介血腫の1例

著者: 熊谷宜子1 江上将平1 朝倉涼平1 杉浦丹1 横山知明1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.109 - P.113

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要約 44歳,男性.既往歴に精神遅滞,てんかん,全盲があった.初診の2週間前より自傷行為によると思われる左耳部皮下血腫が排膿を伴うようになり当科に紹介受診した.初診時は左耳介全体が発赤・腫脹し,裂孔より壊死組織と融解した軟骨が露出していた.局所麻酔下に切開排膿し外用処置と抗菌薬内服を行った.感染症状が落ち着いた時点で耳介の余剰皮膚,瘢痕線維化した軟骨を除去し,円柱状に形成したガーゼで挟み込み圧迫固定するボルスター縫合固定を行った.術後経過は良好で,現在まで再発はない.耳介血腫は外傷などの刺激により起こるが,再発を繰り返すと治癒過程で線維化や軟骨新生をきたし変形する疾患である.ボルスター縫合固定法は創縁全体に均一に圧をかけられるため,出血のリスクがある場合や曲面で固定が困難な場合に有効である.自験例では高度の変形を伴い,大部分の軟骨を除去したが,ボルスター縫合固定法で整容を保つことができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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