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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻2号

2018年02月発行

症例報告

全身性エリテマトーデス様症状と抗dsDNA抗体陽性を示したヒトパルボウイルスB19感染症

著者: 白井拓史1 浅井裕子1 齋藤奈那1 上條史尚1 木庭幸子1 奥山隆平1

所属機関: 1信州大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.157 - P.162

文献概要

要約 42歳,女性.初診2か月前から上肢や背部に皮疹が出現した.初診時には発熱や関節痛,両頰の紅斑,口腔内潰瘍があり,白血球減少と補体低下を認め,抗核抗体,抗dsDNA抗体が陽性であった.病理組織学的に,液状変性とともに血管および付属器周囲にリンパ球浸潤があり,ループスバンドテストが陽性であった.抗ヒトパルボウイルスB19(以下,B19)に対するIgM抗体が陽性であったため,B19感染症をまず考え,対症療法を実施したところ2週間で臨床症状は改善した.初診2か月後の時点では,一過性に日光過敏症とびまん性脱毛がみられ,抗dsDNA抗体が再上昇し,補体の低下が継続したままであった.B19感染症に一過性に全身性エリテマトーデス様の症状を呈することは稀ではないが,自験例では1年以上検査値の異常が続いており,B19感染を契機とする全身性エリテマトーデスの発症に注意すべきと考えた.

参考文献

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10) 塩沢俊一:膠原病学,改訂4版,丸善,p157, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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