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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻2号

2018年02月発行

文献概要

症例報告

前腕伸側に多発した皮膚コレステリン肉芽腫の1例

著者: 川北梨乃12 水川良子1 内田理美1 新田桐子1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2国立病院機構東京医療センター皮膚科

ページ範囲:P.163 - P.167

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要約 78歳,女性.既往歴なし.2015年の夏頃より両前腕伸側に紅色調の皮疹を自覚した.近医にてステロイド剤などの外用を行うが改善せず,2016年3月に当科を受診した.初診時,両前腕伸側に2〜3mm大の黄白色調を呈する淡紅色小丘疹が多発散在していた.自覚症状は認めなかった.前腕伸側の小丘疹を3か所全摘し,3か所中2か所で,真皮中層から深層に異物巨細胞を伴う肉芽腫性病変を認め,紡錘形から円形の笹の葉状の裂隙形成を伴い,コレステリン結晶と考えられた.以上より多発性の皮膚コレステリン肉芽腫と診断した.連続切片にて,2か所に脂腺囊腫を認め,特に1か所では皮膚コレステリン肉芽腫と囊腫構造が近接し,脂腺囊腫が前駆病変であった可能性を考えた.精査にて脂質異常症,抗核抗体陽性を確認し,多発性の本症を確認した場合には全身精査を行う必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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