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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻2号

2018年02月発行

症例報告

外科的治療を行った脳腱黄色腫症の1例

著者: 水野麻紀1 栁瀬哲至1 岡本真由美1 稲束有希子1 田中麻衣子1 河合幹雄1 秀道広1 上野弘貴2 堀郁子3

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学 2広島大学病院脳神経内科 3中電病院皮膚科

ページ範囲:P.169 - P.174

文献概要

要約 53歳,女性.40歳頃より両側のアキレス腱,膝蓋,肘頭などに腫瘤が多発し,徐々に増大,腫瘤の一部に潰瘍を形成するようになった.腫瘤による関節可動域制限と疼痛のため歩行は困難であった.腫瘤部の病理組織像では泡沫細胞が真皮にびまん性に浸潤していた.白内障の既往,認知症,錐体路徴候の合併,血清コレスタノール高値,頭部MRI所見などから脳腱黄色腫症と診断した.ケノデオキシコール酸とロスバスタチンを内服し,半年で血清コレスタノール値の低下と認知機能の改善はみられたが,腫瘤は縮小しなかった.左足の腫瘤上に生じた皮膚潰瘍は難治であり,蜂窩織炎を繰り返し併発した.生活に支障をきたしている左足の腫瘤に対して腱の機能を温存しつつ可及的に外科的切除を行った.術後リハビリテーションと内服を継続し,術後4年で腫瘤の増大はなく歩行器を使用して全荷重歩行は可能となり,手術は有用であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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