icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻3号

2018年03月発行

文献概要

症例報告

脱毛症を契機に診断したCronkhite-Canada症候群の1例

著者: 中江真1 峠岡理沙1 高山峻2 岡山哲也2 内藤裕二2 伊藤義人2 加藤則人1

所属機関: 1京都府立医科大学皮膚科 2京都府立医科大学消化器内科

ページ範囲:P.225 - P.231

文献購入ページに移動
要約 51歳,女性.慢性痒疹に対し2015年10月よりプレドニゾロン錠(PSL)5mg/日を内服していた.2016年7月より味覚異常,食欲低下を自覚した.同年8月よりPSLの減量に伴い,急性発症の顕著な脱毛を認め,精査目的で当科を紹介され受診した.初診時に休止期脱毛症,手掌・足底の褐色斑,舌炎を認めた.消化器症状や,血液検査にて血清鉄・フェリチン低値,低蛋白血症を認めたため,当院消化器内科にて上・下部消化管内視鏡検査,カプセル内視鏡検査を行い,胃,十二指腸,および空腸,回腸,結腸に多発する炎症性ポリープを認めた.経過中に腹痛・下痢,爪甲脱落を認め,Cronkhite-Canada症候群と診断した.PSL 30mg/日で治療を開始し症状の改善を認めた.診断には特徴的な皮膚・付属器所見が重要であり,適切な治療を行えば経過良好な疾患であるため,皮膚科医も脱毛や爪甲異常,色素斑といった症候について知識を有して診療を行う必要がある.

参考文献

1) She Q, et al:Turk J Gastroenterol 24:277, 2013
2) 永倉暁人,他:Prog Dig Endosc 82:188, 2013
3) Daniel ES, et al:Medicine(Baltimore) 61:293, 1982
4) Cronkhite LW Jr, Canada WJ:N Engl J Med 252:1011, 1955
5) Goto A:Nihon Geka Hokan 64:3, 1995
6) Chan HL, et al:Arch Dermatol 115:98, 1979
7) 後藤明彦:日本臨牀 49:2955, 1991
8) 後藤明彦:日癌治療会誌 29:1767, 1994
9) 松井佐織:日消誌 108:778, 2011
10) Sweetser S, et al:Dig Dis Sci 57:496, 2012
11) Yamakawa K, et al:BMC Gastroenterol 16:123, 2016
12) 森田礼時,他:皮膚臨床 41:1189, 1999
13) 澤田美月,他:皮膚臨床 46:927, 2004
14) 松村泰宏,他:皮膚病診療 37:365, 2015
15) 田中麗沙,他:皮膚病診療 37:369, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?