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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

症例報告

皮膚病変にミノサイクリン内服が奏効したサルコイドーシスの1例

著者: 川島裕平1 塩味由紀1 藤尾由美1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.311 - P.316

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要約 58歳,女性.10年前に眼・肺所見よりサルコイドーシスと診断された.数年前より上下肢に自覚症状のない紅斑,皮下結節が出現した.拡大傾向を示し,組織学的所見から局面型,皮下型の混在する皮膚サルコイドと診断した.ミノサイクリン100mgの内服を開始し,2か月で淡く紅斑が残存するものの改善傾向を示し,皮下結節も消退傾向を示した.また,活動性指標となる血清リゾチーム値の低下も認められた.本邦における皮膚サルコイドに対してミノサイクリンが有効であった症例をまとめ,その作用機序についても若干の考按を行った.皮膚病変にミノサイクリンが有効な機序として,サルコイドーシス発症との関連が注目されているPropionibacterium acnesに対する抗菌作用,抗炎症作用,リンパ球抑制作用,肉芽腫形成抑制作用が考えられた.皮膚サルコイドの治療に際しては,ミノサイクリン投与も検討すべきと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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