icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻4号

2018年04月発行

症例報告

真性多血症と皮膚サルコイドーシスの合併例

著者: 川村美保1 水谷陽子1 周円1 北川順一2 市來善郎3 清島真理子1

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科 2岐阜大学医学部血液内科 3いちき皮膚科

ページ範囲:P.317 - P.321

文献概要

要約 66歳,男性.体幹に多発する紅色丘疹を主訴に前医を受診した.外用剤で皮疹はやや軽快するも,新生するために皮膚生検を施行した.病理組織所見で真皮内に類上皮細胞性肉芽腫を認め,当院を紹介受診した.胸部CTでBHLや肺野散布影は認めず,眼病変合併はなかった.臨床所見,病理組織所見とあわせてrecurrent follicular and lichenoid papules型の皮膚サルコイドーシスと診断し,ステロイド外用を開始した.また初診時採血で著明な赤血球増加があり精査したところ,JAK2遺伝子V617F変異,血清エリスロポエチン低値より真性多血症と診断した.瀉血開始となり,治療開始4か月後,赤血球数,Hb値は正常化した.皮膚症状は一部は消退したが丘疹が新生する部位もあり,皮疹に対する瀉血の効果について評価は難しかった.サルコイドーシスと真性多血症の合併は稀ではあるが報告されている.両疾患の関連性を明らかにするためには慎重な経過観察が必要である.

参考文献

1) 岡本祐之:最新皮膚科学大系,第9巻,玉置邦彦,他(編),中山書店,p258, 2002
2) Tirotta D, et al:Rheumatol Int 32:1347, 2012
3) Fujii K, et al:Eur J Dermatol 10:303, 2000
4) 赤星透:ハリソン内科学,第4版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,p2425, 2013
5) Broos CE, et al:Curr Opin Pulm Med 22:476, 2016
6) Brincker H:Br J Cancer 54:467, 1986
7) Brincker H:J Intern Med 225:355, 1989
8) Pascual JC, et al:J Eur Acad Dermatol Venereol 18:700, 2004
9) Arber DA, et al:Blood 127:2391, 2016
10) Tangen JM, et al:Acta Med Scand 223:83, 1988
11) 羽田憲彦,他:埼玉医会誌 35:202, 2000
12) Sionidou M, et al:BMJ Case Rep bcr0120113740, 2011
13) Demongeot C, et al:Ann Dermatol Venereol 138:116, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら