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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

症例報告

ステロイド局所注射が有効であった好酸球性血管リンパ球増殖症の1例

著者: 佐々木洋香1 野村尚史2 渋谷信介3 濱井公平1

所属機関: 1大阪府済生会野江病院皮膚科 2京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科 3大阪府済生会野江病院病理診断科

ページ範囲:P.335 - P.340

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要約 42歳,男性.1年前から左頰部に褐色調の紅斑局面を自覚していた.近医で抗菌薬を投与されたが無効だったため当科を紹介受診した.皮膚生検による病理組織所見で,表皮直下から皮下脂肪織層にかけて,好酸球を混じる炎症細胞の浸潤,毛細血管の増生,血管内皮細胞の腫大と内腔への突出を認めたことから好酸球性血管リンパ球増殖症(angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia:ALHE)と診断した.トリアムシノロンアセトニドの局所注射が奏効し局面は平坦化した.一般的にALHEの治療は,外科的切除が選択される.しかし顔面に発症したALHEは,整容的ないし侵襲的観点から単純切除が困難なこともある.ALHEに対するステロイド局所注射は,その有効性,低侵襲性,簡便性から第一選択療法の1つとすべきと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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