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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

症例報告

血気胸を伴う多発肺転移を合併した頭部血管肉腫の1例

著者: 平田佳子1 平井郁子1 栗原佑一1 高田圭以子2 大原博敏2 神山育男3 天谷雅行1 舩越建1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2独立行政法人国立病院機構埼玉病院形成外科 3慶應義塾大学医学部外科学教室呼吸器外科学

ページ範囲:P.341 - P.345

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要約 86歳,男性.初診4か月前に右側頭部の有痛性の結節を自覚した.近医にて炎症性粉瘤の疑いで切開後,創部が改善せず,潰瘍が拡大した.初診1か月前に両側気胸が発症し,CTで頭部血管肉腫肺転移を疑われ,両側胸腔ドレーンを留置後,当科へ転院した.頭部の潰瘍の生検病理組織像で血管肉腫と診断後,電子線照射を開始した.肺病変は胸腔ドレーン抜去後に全身化学療法を始める方針とした.しかし,血胸水の増悪と気胸の再発を認め,左肺囊胞結紮術と両側胸膜癒着術を行ったが,病勢が進行し,入院41日目に呼吸不全で永眠された.頭部血管肉腫肺転移による血気胸は再発性・難治性であり,気胸発症後の平均生存期間は4.1か月と予後不良である.過去の胸腔ドレーン適応例では,胸膜癒着術や外科的治療中に転移巣が進行し,再発する例が多かった.近年,胸腔内化学療法の気胸改善や病勢制御への有用性が報告されており,進行例での適応を積極的に検討すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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