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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

症例報告

イトラコナゾールで治療した小児頭部白癬の2例

著者: 小川万里依1 三宅俊哉1 藤井弘子1 是枝哲1 田邉洋1 佐々木洋香2 大野佐代子3

所属機関: 1天理よろづ相談所病院皮膚科 2大阪府済生会野江病院皮膚科 3おおの皮膚科

ページ範囲:P.355 - P.360

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要約 症例1:10歳,女児.前医にて前頭部項部の脱毛の真菌鏡検が陽性であった.塩酸テルビナフィン(TBF)90mg/日の3か月間内服およびベタメタゾン,ルリコナゾールの外用で加療したが改善がみられず,当科を紹介受診し,イトラコナゾール(ITZ)100mg/日約3か月の内服で治癒した.原因菌はMicrosporum canisと同定した.症例2:9歳,女児.右側頭部の脱毛で近医皮膚科を受診し,伝染性膿痂疹と診断され抗菌薬内服やステロイド外用にて加療されたが悪化したため受診した.KOH直接鏡検にて真菌要素を認め頭部白癬と診断し,ITZ 100mg/日を11週間投与し治癒した.原因菌種はTrichophyton rubrumと同定した.2症例とも副作用はなかった.ITZ内服は小児の頭部白癬治療において比較的安全であり,最近増加傾向にあるMicrosporum属のみならず,Tricophyton属が原因菌の場合やTBF無効の小児頭部白癬に試みてよい治療と考えた.

参考文献

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11) 徳久弓恵,他:皮膚病診療 31:427, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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