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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018 1.最近話題の皮膚疾患
ボリコナゾールによる光線過敏と発癌
著者: 国定充1
所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野
ページ範囲:P.21 - P.25
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ボリコナゾールは2005年本国で発売が開始された抗真菌薬で適応症として造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防的投与があり長期投薬される症例が多い.ボリコナゾールの投薬を受けている患者で露光部に紅斑や色素斑が生じ,その後日光角化症あるいは有棘細胞癌が発生してくることが国内外から報告が相次いでいる.同剤においての光線過敏症状は光毒性機序で起こると考えられているが比較的長期間投薬を受けてから症状が出ること,またそれに引き続く紫外線皮膚発癌の詳細な機序については依然明らかとなっていない.これらボリコナゾールと皮膚癌発症の報告からこれまで薬剤が原因で起こる光線過敏症のうち主に光毒性のメカニズムとして働くものは表皮・真皮における細胞でのDNA損傷を引き起こすとされていたが,そのことにより紫外線皮膚発癌が誘導される薬剤が存在する可能性が示唆され今後の症例の蓄積が待たれる.
ボリコナゾールは2005年本国で発売が開始された抗真菌薬で適応症として造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防的投与があり長期投薬される症例が多い.ボリコナゾールの投薬を受けている患者で露光部に紅斑や色素斑が生じ,その後日光角化症あるいは有棘細胞癌が発生してくることが国内外から報告が相次いでいる.同剤においての光線過敏症状は光毒性機序で起こると考えられているが比較的長期間投薬を受けてから症状が出ること,またそれに引き続く紫外線皮膚発癌の詳細な機序については依然明らかとなっていない.これらボリコナゾールと皮膚癌発症の報告からこれまで薬剤が原因で起こる光線過敏症のうち主に光毒性のメカニズムとして働くものは表皮・真皮における細胞でのDNA損傷を引き起こすとされていたが,そのことにより紫外線皮膚発癌が誘導される薬剤が存在する可能性が示唆され今後の症例の蓄積が待たれる.
参考文献
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