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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻5号

2018年04月発行

Derm.2018

アメリカで困ったこと

著者: 村尾和俊1

所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬学研究部皮膚科学分野

ページ範囲:P.54 - P.54

文献概要

 自分の前歯2本は真ん中が欠けており,詰め物をしている.ある日,日系スーパーで見つけたスルメをあてにビールを飲んでいると前歯の隙間にスルメの筋が挟まった.勢いよく引っ張ったら詰め物が取れてしまった.米国ではこんなことで歯医者には行けない.仕方なく強力接着剤とやらを買ってくっつけてみた.見た目はいける.よし,っと思ったが,少し硬めの物を咬むとすぐに取れてしまうので弱った.そんなある日,ガムを食べていたら今度は左奥歯の詰め物がガムに引っ付いて取れた.なにくそ,とここも接着剤で凌いだが,やはりすぐにとれてしまう.やむを得ず,食べ物は右の犬歯辺りで咬みちぎり,右奥歯で咀嚼して,最後に左奥歯でそっと咬んでから飲み込んでいた.実に不便であった.
 英語はもちろん苦労した.特にしゃべるほうはさっぱりであった.多少会話を覚えても発音で苦戦する.免許証の書き換えで住所を聞かれたが(Monaco street),どうしても通じない.「モネィコ〜」,「も〜なこぅ」などと工夫(?)したがダメで,結局紙に書いた.このときの「Oh, Monaco…」と言ったofficerの表情は忘れられない.しゃべるのに比べ聞くほうはそれなりになった,と思っていたが,妄想であった.帰国間近に長男の三者懇談があった.長男の学校での生活ぶりなどを聞いてみよう,と出かけたが,懇談前に長男と担任の先生が交わしている会話が全く聞き取れない.この頃の長男はほぼnativeのEnglishであり,ああ,これが生の英語か,と.Labはヘテロな集団でnativeは少なかった.結局懇談どころではなく,「今先生何言うたんや?」と長男を突っつくのに必死で,話は全く盛り上がらなかった.ま,最も盛り上がらずに困ったのは,冴えない実験結果ばかりで,最後の最後まで盛り上がらなかったボスとのdiscussionであるのは間違いない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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