文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
3.新しい検査法と診断法
文献概要
summary
水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)は,高齢者に好発し本邦では最も頻度の高い自己免疫性水疱症である.BP患者血中には表皮基底細胞ヘミデスモゾーム構成分子であるBP180あるいはBP230を標的とする自己抗体が存在し,BP180を標的とする自己抗体を同定する検査法(抗BP180 NC16a抗体)は広く臨床応用されている.しかし“抗BP180 NC16a抗体検査”は,BP180の限られた部位(NC16a領域)のみ標的とする自己抗体を同定する検査法であり,陰性となる患者も稀でない.筆者らは近年,BP180上のすべての領域を標的とする自己抗体の同定を目指し,リコンビナント全長BP180蛋白を用いた“全長BP180 ELISA法”を開発した.多数例を解析する過程で,近年,2型糖尿病治療薬として広く使用されている“DPP-4阻害薬”内服中に発症するBPでは,通常の抗BP180 NC16a抗体検査法が陰性か低値の症例が多く,“全長BP180 ELISA法”が診断に有用であることが明らかとなった.
水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)は,高齢者に好発し本邦では最も頻度の高い自己免疫性水疱症である.BP患者血中には表皮基底細胞ヘミデスモゾーム構成分子であるBP180あるいはBP230を標的とする自己抗体が存在し,BP180を標的とする自己抗体を同定する検査法(抗BP180 NC16a抗体)は広く臨床応用されている.しかし“抗BP180 NC16a抗体検査”は,BP180の限られた部位(NC16a領域)のみ標的とする自己抗体を同定する検査法であり,陰性となる患者も稀でない.筆者らは近年,BP180上のすべての領域を標的とする自己抗体の同定を目指し,リコンビナント全長BP180蛋白を用いた“全長BP180 ELISA法”を開発した.多数例を解析する過程で,近年,2型糖尿病治療薬として広く使用されている“DPP-4阻害薬”内服中に発症するBPでは,通常の抗BP180 NC16a抗体検査法が陰性か低値の症例が多く,“全長BP180 ELISA法”が診断に有用であることが明らかとなった.
参考文献
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