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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018 4.皮膚疾患治療のポイント
乳児血管腫に対するパルスダイレーザー療法とプロプラノロール療法の適応
著者: 遠藤英樹1
所属機関: 1近畿大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.138 - P.142
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乳児血管腫は従来より自然治癒が期待できるとされており,学童期までに多くは縮小,消退する.しかし,増大の程度が大きい症例では退縮後,多少の皮膚のたるみ,しわを呈し,醜形を残してしまう症例もある.大きさのピークを迎える生後6〜12か月後までに増大を抑制し有効性が高いことから,従来から早期のパルスダイレーザー照射が勧められてきた.最近,2008年に報告されたプロプラノロール療法が欧米では治療の第一選択となっており,本邦でも国内での臨床試験において日本人乳児血管腫患者に対する有効性および安全性が確認され,2016年7月に製造販売承認された.視力障害や哺乳障害を起こしえるような眼瞼や鼻部の症例,顔面の広範囲症例などに効果が期待されている.症例の個人差が大きい乳児血管腫に対し,両治療の方針を家族に説明・相談し,両治療をうまく選択していくことが重要である.
乳児血管腫は従来より自然治癒が期待できるとされており,学童期までに多くは縮小,消退する.しかし,増大の程度が大きい症例では退縮後,多少の皮膚のたるみ,しわを呈し,醜形を残してしまう症例もある.大きさのピークを迎える生後6〜12か月後までに増大を抑制し有効性が高いことから,従来から早期のパルスダイレーザー照射が勧められてきた.最近,2008年に報告されたプロプラノロール療法が欧米では治療の第一選択となっており,本邦でも国内での臨床試験において日本人乳児血管腫患者に対する有効性および安全性が確認され,2016年7月に製造販売承認された.視力障害や哺乳障害を起こしえるような眼瞼や鼻部の症例,顔面の広範囲症例などに効果が期待されている.症例の個人差が大きい乳児血管腫に対し,両治療の方針を家族に説明・相談し,両治療をうまく選択していくことが重要である.
参考文献
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