文献詳細
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文献概要
1. はじめに
マウスにおいて,induced pluripotent stem cell(iPS細胞;人工多能性幹細胞)が成功裡に作製されたことが山中伸弥教授らによって初めて報告されたのは2006年(ヒトでは2007年)であり,すでに10年が経過した.その間,2012年には,山中教授がノーベル医学生理学賞を受賞し,早くも,2014年には,眼科分野においてその臨床への応用が始まった.
現在,iPS細胞作製の技術とそれに付随して発展してきた技術は,ほんの10年前まではまだまだ高いハードルが存在した,ヒトにおける遺伝子改変を,いとも簡単に行えるレベルにまで到達し,また,その多くが不変のものと考えられていた最終分化細胞であるわれわれの体を構成する体細胞は,豊かな可塑性を包含していることが明らかとなり,生命科学そのものが,それまでとは全く違うものに変貌した.
なお,皮膚科学分野における再生医療の可能性,ということについて本稿で述べさせていただくが,iPS細胞以前から存在していまもって大きな可能性を秘めている,自然発生的な,ある程度の万能性あるいは多能性を持つ幹細胞についてのお話は省略させていただいていることをあらかじめお断りしておく.
マウスにおいて,induced pluripotent stem cell(iPS細胞;人工多能性幹細胞)が成功裡に作製されたことが山中伸弥教授らによって初めて報告されたのは2006年(ヒトでは2007年)であり,すでに10年が経過した.その間,2012年には,山中教授がノーベル医学生理学賞を受賞し,早くも,2014年には,眼科分野においてその臨床への応用が始まった.
現在,iPS細胞作製の技術とそれに付随して発展してきた技術は,ほんの10年前まではまだまだ高いハードルが存在した,ヒトにおける遺伝子改変を,いとも簡単に行えるレベルにまで到達し,また,その多くが不変のものと考えられていた最終分化細胞であるわれわれの体を構成する体細胞は,豊かな可塑性を包含していることが明らかとなり,生命科学そのものが,それまでとは全く違うものに変貌した.
なお,皮膚科学分野における再生医療の可能性,ということについて本稿で述べさせていただくが,iPS細胞以前から存在していまもって大きな可能性を秘めている,自然発生的な,ある程度の万能性あるいは多能性を持つ幹細胞についてのお話は省略させていただいていることをあらかじめお断りしておく.
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