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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻6号

2018年05月発行

文献概要

症例報告

肺腺癌多発転移に対するニボルマブ投与により生じたlichenoid reactionの1例

著者: 武内朝子1 伏間江貴之1 高杉亜里紗1 川北梨乃1 加藤良一2 吉田哲也1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構東京医療センター呼吸器外科

ページ範囲:P.419 - P.423

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要約 55歳,女性.右上葉肺腺癌(c-T1bN1M1b,c-Stage Ⅳ:右肺門リンパ節転移・大腿骨転移)に対して各種化学療法を施行されたが腫瘍は増大傾向であったためニボルマブの投与が開始された.投与開始6週間後から両側掌蹠に瘙痒を伴う淡い紅斑が出現し増悪したため投与開始10週後に当科を受診した.掌蹠の皮疹は淡い紅斑から扁平隆起する紫紅色局面へと経時的に変化した.ステロイド外用やビタミンD3製剤の外用を試みたが効果に乏しく,四肢や体幹部にまで紅色〜紫紅色の角化性丘疹は拡大した.ニボルマブ投与終了後も皮疹が拡大・増悪したため,左手掌の紫紅色局面より皮膚生検を施行した.病理組織学的に過角化・表皮肥厚および液状変性を伴い,真皮浅層に帯状の炎症細胞浸潤を呈するlichenoid reactionの所見を認めた.ニボルマブ投与中止7週後から皮疹は無治療で自然軽快したため,臨床経過よりニボルマブ投与により生じたlichenoid reactionと診断した.

参考文献

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11) 塩原哲夫:皮膚病診療 14:799, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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