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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻7号

2018年06月発行

文献概要

症例報告

頸部食道穿孔による嚥下障害を認めた抗TIF-1γ抗体陽性皮膚筋炎の1例

著者: 武内朝子1 加藤峰幸1 下田由莉江1 唐帆健浩2 滝澤始3 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室 3杏林大学医学部第一内科学教室呼吸器内科

ページ範囲:P.493 - P.498

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要約 58歳,男性.顔面の紅斑と乾性咳嗽を主訴に受診した.両側上眼瞼の浮腫性紅斑,爪囲紅斑・爪上皮の延長,近位筋の筋力低下,CK高値より皮膚筋炎と診断した.抗transcriptional intermediary factor(TIF)-1γ抗体陽性であった.精査にて肺腺癌と多発転移が判明し,プレドニゾロン(PSL)75mg/日内服と化学療法を開始した.PSL開始後皮膚症状や筋症状は著明に改善し,CK値も正常化した.しかしPSL 65mg/日へ減量後14日目に嚥下障害が急性増悪し食事摂取不可能となった.当初は皮膚筋炎による嚥下障害を考えたが皮疹や筋症状の再燃はなかった.嚥下造影検査で造影剤の食道外への漏出を認め,CTで頸部周囲に遊離ガス像を検出したことから食道穿孔に起因する嚥下障害と診断した.穿孔は絶食による保存的加療にて膿胸や縦隔炎を生じることなく自然軽快し嚥下機能は改善傾向となった.皮膚筋炎における嚥下障害は原病の悪化のみでなく,稀ではあるが消化管穿孔が原因のことがあり,画像検査が診断に有用である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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