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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻7号

2018年06月発行

症例報告

根管治療薬(ペリオドン®)の含有成分パラホルムアルデヒドによるアナフィラキシーの1例

著者: 田中博子1 伊藤崇1 黒沼亜美1 関東裕美1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)

ページ範囲:P.499 - P.504

文献概要

要約 38歳,女性.2016年7月,近医歯科で歯根管処置を行われ,約6時間後に呼吸苦と瘙痒感,12時間後に全身に瘙痒性紅斑が出現し当院を受診した.ステロイド内服加療に抵抗性であったが,歯根管を除去したところ軽快した.加療後に実施したプリックテストでは,局麻剤を含め全て陰性であったが,パッチテスト,スクラッチパッチテストでは歯根管治療薬ペリオドン,ホルムアルデヒドで陽性を呈した.歯根管を外し軽快したことと皮膚テストの結果から,ペリオドン®中のパラホルムアルデヒドによる即時型アレルギーと考えた.歯科治療後のアナフィラキシーや蕁麻疹などの症状を見た場合は,歯科治療材料が原因である可能性も念頭に置くべきと考える.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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