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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻7号

2018年06月発行

文献概要

症例報告

口腔粘膜,軀幹四肢に多発したレボフロキサシンによる固定薬疹の1例

著者: 赤芝知己12 石河晃3 岩渕千雅子1

所属機関: 1日産厚生会玉川病院皮膚科 2東京都保健医療公社荏原病院皮膚科 3東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.505 - P.511

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要約 49歳,男性.初診1週間前より眼のひりひり感と口内炎が出現.2日前より軀幹四肢と陰囊に疼痛を伴う紅斑,亀頭部にびらんが出現したため,当科を受診した.初診時,臍周囲,背部,左大腿部に境界明瞭な小豆大から鶏卵大までの浸潤を触れる紅斑が散在していた.左第1指間に大豆大の淡い紅斑,陰囊に紅斑あり,亀頭部には小豆大までのびらんが見られた.多発固定薬疹を疑ったが内服歴はフェキソフェナジンのみだった.プレドニゾロン10mgの内服を開始し皮疹は改善したが,第6病日に増悪した.詳細な問診により,皮疹出現前のレボフロキサシン(LVFX)の内服歴が判明した.病理組織像は表皮の一部で基底層の液状変性,真皮浅層にはメラノファージが散見され,LVFXによる多発固定薬疹と診断した.薬剤リンパ球刺激試験とパッチテストは陰性であった.固定薬疹は誘発を繰り返し多発型へ移行して重篤となる場合もあり,原因薬剤の確定が重要である.

参考文献

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13) 高木佐千代,他:皮膚臨床 58:83, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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