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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻8号

2018年07月発行

文献概要

症例報告

ステロイド内服療法が関節拘縮に著効した深在性モルフェアの1例

著者: 小見川知佳1 端本宇志1 花房崇明1 野老翔雲1 並木剛1 井川健1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.583 - P.587

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要約 61歳,男性.初診2年前より左肘関節に熱感,疼痛,腫脹,可動域制限が出現し,その後,両膝関節と左肩関節にも疼痛と可動域制限が出現し増悪した.初診時,左肩関節・肘関節の可動域が制限され,両膝関節の屈曲も困難であった.左肘は深部にびまん性の皮膚硬化を触知し,褐色の色素沈着を呈し,両膝周囲には網目状の暗紫紅色斑があった.深在性モルフェア,好酸球性筋膜炎を疑った.抗Scl-70抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体,抗セントロメア抗体は陰性であり,末梢血好酸球数,血清クレアチニンキナーゼ値や血清アルドラーゼ値も正常範囲内であった.左肘の造影MRI検査で左上腕三頭筋内と筋付着部に高信号域があり,同部位の病理組織学的検査では真皮全層で膠原線維が膨化し増生していたが,好酸球浸潤はなかった.以上より深在性モルフェアと診断した.副腎皮質ステロイドの内服で皮膚および関節症状は著明に改善した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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