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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻9号

2018年08月発行

症例報告

第XIII因子製剤が著効したIgA血管炎の1例

著者: 井上明葉1 瀬戸山絢子1 藤澤聖2 廣正佳奈1

所属機関: 1JCHO九州病院皮膚科 2JCHO九州病院消化器内科

ページ範囲:P.665 - P.669

文献概要

要約 27歳,女性.両側大腿から足背の紫斑,下腹部痛,四肢の関節痛を主訴に当科を受診した.病理組織所見と上部消化管内視鏡検査所見からIgA血管炎と診断し,入院の上プレドニゾロン(PSL)30mg/日の全身投与を開始した.治療開始後関節痛は軽快したが,紫斑は消退と再燃を繰り返し腹痛は増悪傾向であった.治療開始10日目に消化器病変を再評価する目的で再度上部消化管内視鏡検査を行ったところ入院時の内視鏡検査でみられた十二指腸下行脚のびらんが増加・増悪していたため,同日からPSL 60mg/日へ増量した.その後も腹痛は改善せず,第XIII因子活性を再度測定した結果39%と低下していた.第XIII因子製剤を3日間投与後腹痛は著明に改善しステロイド漸減後も再燃なく経過した.全身症状を伴う成人IgA血管炎では重症度予測因子として第XIII因子の測定が有効であり,治療の1つとしてXIII因子製剤の投与も検討されるべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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