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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻9号

2018年08月発行

文献概要

症例報告

クロモグリク酸ナトリウムが奏効した線状扁平苔癬の1例

著者: 戸塚みちる1 長島真由美1 秋田亜紗美1 佐川展子1 岡田里佳1 井上雄介1 山野朋子2 山川有子2 蒲原毅1

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科 2山川皮ふ科クリニック

ページ範囲:P.675 - P.679

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要約 52歳,女性.初診7か月前より左手関節に瘙痒を伴う皮疹が出現し,手関節から前腕のBlaschko線に沿って線状に拡大した.ステロイド外用薬,レボセチリジン塩酸塩内服による治療で症状が改善せず当科を紹介され受診した.臨床症状と皮膚生検病理組織像から線状扁平苔癬と診断した.パッチテストでニッケル,コバルトが陽性であり,喫煙歴があったこと,歯科金属が挿入されていたことから金属アレルギーの関与を考え,クロモグリク酸ナトリウム内服を開始した.内服後2か月で皮疹は消退した.内服中止後,皮疹の再燃が認められたが,内服再開後,皮疹は軽快した.自験例ではクロモグリク酸ナトリウム投与により腸管粘膜から金属アレルゲンの吸収が抑えられて症状が改善した可能性が推察された.金属アレルギーが関与する線状扁平苔癬に対しクロモグリク酸ナトリウム内服は試みてもよい治療と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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