icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻1号

2019年01月発行

文献概要

症例報告

診断に苦慮した顔面のパラフィノーマの1例

著者: 松本藍1 前川武雄1 小宮根真弓1 村田哲1 大槻マミ太郎1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.41 - P.45

文献購入ページに移動
要約 54歳,女性.両眼瞼と頰,鼻の腫脹と開眼困難が出現し受診した.皮膚生検では非特異的脂肪織炎の所見で悪性所見はなかった.ステロイド内服は有効であったが減量で再燃し,CHOP療法を施行したところ,プレドニンを減量,終了できた.25年前の重瞼術・隆鼻術施行歴が判明し,鼻背インプラントを抜去した.5年間再発なかったがその後眼瞼,頰の紅斑,腫脹が再発した.頰から再度皮膚生検を施行し,空胞状構造を多数形成する異物肉芽腫がみられ,パラフィノーマと診断した.病理組織像からは油脂類注入が推測されたが,患者は否定した.その後も眼瞼・頰部に発赤,腫脹を繰り返しており,局所症状のコントロールに難渋している.美容施術による皮膚障害は,本人の申告がないと,診断が困難なことがあり,まずは疑うことが重要である.

参考文献

1) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系10巻,中山書店,p272, 2003
2) 百束比古:臨皮 64(5増):165, 2010
3) 小林真二,古江増隆:Visual Dermatol 8:470, 2009
4) 秦 由美,他:皮膚病診療 31:683, 2009
5) 武藤文之介,他:皮膚臨床 56:99, 2014
6) 湊はる香,他:臨皮 65:603, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?