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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻1号

2019年01月発行

文献概要

症例報告

ダーモスコピー所見の検討を行ったmicrocystic adnexal carcinomaの1例

著者: 林倫子1 栗原麻菜1 根木治1 髙森建二1 田中勝2 安齋眞一3 須賀康1

所属機関: 1順天堂大学浦安病院皮膚科 2東京女子医科大学東医療センター皮膚科 3日本医科大学武蔵小杉病院皮膚科

ページ範囲:P.53 - P.57

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要約 60歳代,女性.10年程前から右下口唇辺縁部に小丘疹を自覚し,数か月前から増大した.既往に脂質異常症があり,黄色腫の疑いで当院を受診した.右下口唇に接して約1cm大,淡黄色調で弾性硬の結節がみられた.ダーモスコピーでは,淡黄褐色の背景に腫瘍全体にわたる黄白色調の小円形,ないし索状の構造と,周囲の線状血管が観察された.パンチ生検病理組織像では汗管に類似した小管腔の増生がみられ,核異型等は明らかではなく汗管腫が疑われた.しかし典型的な病理組織像ではないため,全切除した結果,真皮浅層には微小角質囊腫が多数みられ,汗管様構造を呈する腫瘍細胞がびまん性に増殖し,筋層間や脂肪組織まで浸潤していた.以上より,自験例を微小囊胞状付属器癌(microcystic adnexal carcinoma:MAC)と診断した.本疾患は時に汗管腫や良性毛囊系腫瘍との鑑別が困難であり,ダーモスコピーでみられた黄白色調の小円形構造は,MACに特徴的な微小角質囊腫に対応すると考えた.ダーモスコピーの所見はMACの有用な参考所見となる可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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