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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻1号

2019年01月発行

文献概要

症例報告

良性対称性脂肪腫症の1例

著者: 八谷美穂1 小松広彦1 元吉誠2 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科 2国立病院機構東京病院消化器外科

ページ範囲:P.85 - P.89

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要約 77歳,男性.アルコール多飲歴と4年前に頸部,下顎の脂肪腫切除歴があった.1年前に接触性皮膚炎で当科受診時に,両下顎,頸部,両肩から上肢,前胸部を中心とした上半身と鼠径部に,弾性軟の皮下腫瘤を左右対称性に認めた.病理組織像で,被膜を有さない成熟脂肪細胞が増生し,特徴的な臨床像とあわせて,良性対称性脂肪腫症と診断した.本疾患の機序はいまだ明確ではないが,自験例のようにアルコール多飲に伴う報告例が多い.また,頸部,体幹,四肢近位に好発し,これが褐色脂肪組織との分布に一致することから,褐色脂肪細胞由来とする説が根強い.一方で,病理組織像では形態学的に白色脂肪細胞の増殖がみられ,いわゆる古典的褐色脂肪細胞とは必ずしも合致しないため異なる機序が示唆される.最近,褐色脂肪様細胞のベージュ細胞の存在が判明しており,本症との関連が注目される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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