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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻10号

2019年09月発行

文献概要

症例報告

早期の治療介入が有用であった禿髪性毛包炎と考えた好中球性瘢痕性脱毛症の1例

著者: 上原沙織1 石川秀幸1 渡邊友也2 池澤優子1

所属機関: 1茅ヶ崎市立病院皮膚科 2湘南東部クリニック皮膚科

ページ範囲:P.767 - P.772

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要約 79歳,男性.初診3か月前より頭部に皮疹が出現し,前医にてミノサイクリン内服等で加療されたが拡大傾向を認めたため,当科を紹介され受診した.頭部に角化や小脱毛斑を伴う浸潤性紅斑を認め,病理結果より好中球性原発性瘢痕性脱毛症,なかでも禿髪性毛包炎(folliculitis decalvans)と考えた.プレドニゾロン20mg/日,ロキシスロマイシンの内服を行い,紅斑,小膿疱は消退した.その後,プレドニゾロンの減量により再燃したため,ロキシスロマイシンを再開し寛解した.自験例は発症早期に治療を開始することで,瘢痕性脱毛は残存したが多くの毛包を残すことができた.紅斑や自覚症状を伴う炎症性の脱毛斑を診た場合には本症の可能性を疑い,発症早期に紅斑や脱毛斑辺縁の有毛部などから皮膚生検を行い,不可逆性の瘢痕性脱毛に至る前に治療を開始することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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