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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻10号

2019年09月発行

文献概要

症例報告

反復するヘルペスウイルス感染症を契機に診断された選択的IgM欠損症の1例

著者: 川名博徳1 葉山惟大1 照井正1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野

ページ範囲:P.791 - P.795

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要約 63歳,男性.初診約1週間前から口唇,口腔内,陰部の疼痛を伴う皮疹が出現し,受診した.ヘルペス性歯肉口内炎および陰部ヘルペスを疑い,アシクロビル投与にて皮疹は改善した.7か月後に同部位に皮疹が再燃した.アシクロビル投与にて皮疹は改善したが,血清immunoglobulin M(IgM)が継続的に低値であった.B細胞表面IgMも低値であり,選択的IgM欠損症と診断した.遺伝子検査を行ったが,chromosome 22q11.2の欠失はみられなかった.選択的IgM欠損症の病態は不明な点が多く,有病率も明らかなデータがない.しかし,小児において反復する感染症や,成人ではアレルギー疾患,自己免疫疾患を契機に診断されることもあり,鑑別疾患として念頭に置くことが重要である.

参考文献

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13) 浅田秀夫:J Environ Dermatol Cutan Allergol 10:12, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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