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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻10号

2019年09月発行

文献概要

症例報告

皮膚転移を生じて死亡の転帰を取った多発性骨髄腫の1例

著者: 岡本修1 小野敬二2 進来塁3 宗元碩哲3 蒲池綾子4 橋本裕之3

所属機関: 1大分市医師会立アルメイダ病院皮膚科 2大分市医師会立アルメイダ病院血液内科 3大分市医師会立アルメイダ病院形成外科 4大分市医師会立アルメイダ病院病理部

ページ範囲:P.818 - P.822

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要約 81歳,男性.皮膚科初診の15か月前にBence-Jones蛋白λ型の多発性骨髄腫と診断され血液内科で化学療法が行われていた.7か月前から上肢の不全麻痺が出現し,6か月前から右大腿に腫瘤が出現した.1か月前から複視が出現,大腿の腫瘤は急速に増大し,左側腹部にも結節が出現した.右大腿の腫瘤に関して患者は当科を初診した.同部の生検で多発性骨髄腫の特異疹と診断した.化学療法の結果,左側腹部の結節は消失したが右大腿の腫瘤が増大したため皮膚科初診5か月後に切除術を行った.腫瘤と下床の脂肪織との連続性はなく,多発性骨髄腫の皮膚転移と診断した.しかしその後,中枢神経浸潤と汎血球減少が進行し患者は6か月後に死亡した.多発性骨髄腫の特異疹に遭遇する頻度は少ないが,出現から死亡までの中央値は約6か月で,予後不良の徴候として再認識された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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