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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻10号

2019年09月発行

文献概要

症例報告

Helicobacter cinaediによる蜂窩織炎の1例

著者: 高島有香1 守内玲寧1 白戸貴久1 永坂敦2 清水聡子1

所属機関: 1市立札幌病院皮膚科 2市立札幌病院感染症内科

ページ範囲:P.829 - P.833

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要約 59歳,女性.関節リウマチのため,インフリキシマブ,メトトレキサート,メチルプレドニゾロンにて加療中.左人工足関節置換術後,創部に潰瘍を形成し,初診2か月前に植皮術が行われた.術後,発熱と四肢の紅斑を認め,抗菌薬投与によりいったん改善したが,初診5日前より再び発熱と紅斑が出現した.初診時,両下腿,右前腕,左臀部に有痛性の浸潤性紅斑があり,血液検査では好中球増多と炎症反応高値を認め,蜂窩織炎と診断した.抗菌薬の投与が奏効したが,4回にわたり再燃を繰り返した.再燃時の血液培養で8日目にHelicobacter cinaediが検出され,H. cinaediの再発性蜂窩織炎と診断した.H. cinaediによる蜂窩織炎は再燃を繰り返すことが多く,治療に難渋することがある.反復性の蜂窩織炎を診た際にはH. cinaedi感染症の可能性を考え,検査の際には培養期間を長めに設定し,治療は抗菌薬投与を長期に行うことが重要である.

参考文献

1) Shimizu S, et al:Acta Derm Venereol 93:165, 2013
2) Kiehlbauch JA, et al:Ann Intern Med 121:90, 1994
3) Shimizu S, et al:Br J Dermatol 175:62, 2016
4) Toyofuku M, et al:J Infect Chemother 22:704, 2016
5) Kiehlbauch JA, et al:J Clin Microbiol 33:2940, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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