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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科73巻11号

2019年10月発行

雑誌目次

症例報告

愛知県の平野部で発生した凍傷の2例

著者: 渡邉直樹 ,   笹田佳江 ,   早川彰紀

ページ範囲:P.850 - P.856

要約 症例1:75歳,男性.30年来のホームレス.2月上旬から両足趾に黒色変化をきたし受診した.Ⅳ度凍傷としてプロスタグランジンE1製剤の静注を行った.両足趾が広範囲に黒色壊死となり下肢切断を考慮したが外科的治療に同意が得られず,保存的に経過をみることとなり,第18病日に転院した.症例2:50歳,男性.職場の社員寮で生活していたが退職を契機に2月上旬から車中泊の生活となった.車中泊5日目に両足の腫脹と感覚麻痺をきたし受診した.凍傷として補液療法,プロスタグランジンE1製剤の静注を行った.左第1趾と右第1,2趾は乾燥壊死となった.保存的に経過を見ることとなり,第33病日に転院した.最低気温はともに−3℃であった.平野部での凍傷は稀であるが発生することがあり適切な診断と治療が必要となる.災害時にやむを得ず車中泊を強いられる場合にも発症する可能性があるため,冬季は十分な防寒対策が重要であると考えた.

ドクササコ摂取による肢端紅痛症の1例

著者: 渡部絢子 ,   牛上麻希 ,   藤井俊樹 ,   望月隆 ,   橋本貴美子

ページ範囲:P.857 - P.862

要約 78歳,男性.11月初旬より手足に疼痛が出現.徐々に増悪したため当科を受診した.初診時,四肢末端に紅斑腫脹と激しい接触痛を訴え,摂食や自力歩行が困難であった.再度の問診で症状出現数日前にドクササコを摂取したことが判明.臨床経過と合わせ,ドクササコ摂取による肢端紅痛症と診断し,ニコチン酸アミド900mg/日の内服を開始した.症状は約1か月で軽快した.入院中に施行したサーモグラフィーでは,患者の手足の表面温度は健常人と比較し約2℃高かった.また高温を示す部位は接触痛やしびれ感を認める部位と一致していた.ドクササコ中毒は潜伏期が長く,消化器症状が強くないことから,初診時にはキノコ中毒の可能性を疑いにくい.疾患に対する理解と詳細な病歴聴取が重要である.また毒キノコによる食中毒は保健所への届け出が義務づけられている.

クラゲ刺傷によって発症したと考えられた納豆アレルギーの1例

著者: 木下ひとみ ,   中村吏江 ,   幸絢子 ,   天野愛純香 ,   白石剛章 ,   森本忠雄

ページ範囲:P.863 - P.867

要約 62歳,男性.賞味期限切れの納豆を摂取し,蕁麻疹と血圧低下を生じた.大豆製品を日常的に摂取し問題ないこと,クラゲ刺傷の既往があったことから,クラゲ刺傷によって生じた納豆アレルギーを疑った.クラゲ刺傷によってポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)に感作されるが,納豆の粘稠物質にもPGAが含まれており,このPGAは納豆の発酵過程で経時的に増加すると考えられている.そこで賞味期限内および賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,大豆の水煮,ミズクラゲ,PGAを用いてプリックテストを施行した.賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,PGAで陽性であり,PGAによるアナフィラキシーショックと診断した.PGAは医薬品で使用されるほか,食品や化粧品等広い分野で使用されているため,原因不明のアナフィラキシーでまず疑うことが大切であり,クラゲ刺傷の既往や詳細な食事歴の聴取が重要である.

Transient acantholytic dermatosis(Grover病)の1例

著者: 河合匡子 ,   市村知佳 ,   木村理沙 ,   松井彩乃 ,   工藤由美子 ,   石河晃

ページ範囲:P.869 - P.873

要約 85歳,女性.2か月前に庭で草花を触った後より両前腕,手背に瘙痒のある小水疱,紅斑が出現した.ジフルプレドナート外用し,2週間で軽快した.その後,頸部に環状の紅斑が出現し同剤外用で一度は軽快するも皮疹が再燃したため当院を紹介受診した.真菌鏡検,皮膚細菌培養検査は陰性,血清抗BP180-NC16a抗体,抗デスモグレイン1,3抗体は陰性であった.頸部の紅斑より皮膚生検を施行したところ病理組織標本で表皮の基底層直上に裂隙形成と棘融解を認めた.直接・間接蛍光抗体法はともに陰性であった.以上よりtransient acantholytic dermatosis(Grover病)と診断した.最初にGrover病が報告された際に誘発因子として日光曝露が挙げられていたが,自験例においては非露光部にも皮疹が出現していることや冬季に発症していることなど合致しない点も多く,複数の誘発因子が存在すると考えられる.

抗ヒトIL-17RAモノクローナル抗体ブロダルマブを投与後に胸膜炎,大動脈炎を発症した膿疱性乾癬の1例

著者: 吉岡愛育 ,   福永淳 ,   大幡万里恵 ,   横山大輔 ,   桂田雅大 ,   明石健吾 ,   錦織千佳子

ページ範囲:P.875 - P.882

要約 47歳,女性.9歳時より尋常性乾癬の既往があり初診2週間前より皮疹が増悪し当科受診となった.初診時,体幹・四肢の鱗屑を伴う角化性紅斑を認め尋常性乾癬と診断した.初診8日後より発熱,炎症反応上昇と皮疹の膿疱化をきたし,膿疱性乾癬を発症した.抗ヒトIL-17RAモノクローナル抗体ブロダルマブ投与で皮膚症状は著明に改善するも,全身症状の増悪,胸膜炎,大動脈炎が出現し,プレドニゾロン投与を行った.プレドニゾロン漸減中に膿疱の再燃を認め,抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体インフリキシマブを投与し,皮膚症状,全身症状共に良好に経過した.膿疱性乾癬は全身症状を伴い生命予後にも関わる難治な皮膚疾患である.今回,膿疱性乾癬に対するブロダルマブ投与により,皮膚症状の改善と相反して全身症状の悪化,大動脈炎の発症を認めた症例を経験したため,考察を交えて報告する.

外陰部angiomyofibroblastomaの局所再発例

著者: 佐野友佑 ,   馬屋原孝恒 ,   谷口佳代子 ,   幸村康弘

ページ範囲:P.883 - P.886

要約 40歳,女性.既往に神経線維腫症1型がある.当科初診約4年前に近医で右外陰部腫瘤を切除し,病理組織学的および免疫組織化学的にangiomyofibroblastoma(AMFB)と診断された.切除断端は陽性であった.切除1年後に同部位に結節が出現し,当科を受診した.境界明瞭な下床との癒着のない約3cm大の懸垂性腫瘤を認めた.切除した腫瘍は比較的境界明瞭で,異型性の乏しい紡錘形細胞が密に増生し,線維性成分や粘液細胞の産生は認めなかった.免疫組織化学的にデスミン,α-SMA,estrogen receptor,progesterone receptorはいずれも陽性,CD34,S100蛋白は陰性であり,AMFBと診断した.AMFBは切除後再発は稀とされており,局所浸潤,再発性の強いaggressive angiomyxomaとの鑑別を要する.AMFBでも切除不十分である場合は自験例のように局所再発することがあり,再発を繰り返すことも考慮して切除に臨むべきと考えられた.

Mohs軟膏による出血・滲出液コントロールがQOLを改善した未分化大細胞型リンパ腫の1例

著者: 住友理映子 ,   上原慎司 ,   吉岡啓子

ページ範囲:P.887 - P.891

要約 42歳,女性.当科受診の5か月前より右側頭部に腫瘤を自覚した.腫瘤は徐々に増大傾向で自壊を伴うようになったため,当科を受診した.右側頭部から右顔面にかけて滲出液・出血・悪臭を伴う潰瘍化した10cm大の隆起性局面と,右胸部に3cm大の可動性不良な皮下腫瘤を数か所認めた.未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)の診断で,当院血液内科による化学療法が開始された.開始後,腫瘍径は縮小傾向であったが,滲出液や悪臭は継続し局所治療に難渋していた.そこでMohs軟膏を併用したところ,局所症状は改善し,患者のquality of life(QOL)を下げることなく化学療法を継続することができた.Mohs軟膏は塩化亜鉛を主成分とする組織固定剤で,皮膚に表在する癌からの出血や滲出液・悪臭をコントロールし,患者のQOLを改善する方法として用いられている.Mohs軟膏は終末期患者のみならず,疾患の特性によっては化学療法中の患者のQOLも改善しうる局所治療の1つと考えられた.

MALDI-TOF MSにより菌種同定ができたMicrosporum canisによる体部白癬とTrichophyton interdigitaleによる足白癬の合併例

著者: 要石就斗 ,   後藤和哉 ,   小川万里依 ,   田邉洋 ,   阿部教行

ページ範囲:P.893 - P.898

要約 48歳,女性.ステロイド外用,内服治療により増悪した顔面,頸部,下肢の浸潤性紅斑を主訴に受診した.頸部,下肢,足趾間の鱗屑のKOH直接鏡検陽性.頸部,下肢から分離された菌に対して,形態学的同定,分子生物学的同定に加え,MALDI-TOF MSによる同定を併用し,いずれもMicrosporum canisと同定した.自宅で飼育中のネコからも同様の方法で,M. canisを同定し感染源と考えた.また,趾間の鱗屑から分離した菌は,形態学的,MALDI-TOF MSによる検討を行い,Trichophyton interdigitaleと同定した.治療はテルビナフィン塩酸塩を内服し,2か月の経過で治癒した.同一個体に対して,2種類の異なる菌種がそれぞれに病原性を持って共存することは興味深く,MALDI-TOF MSは自験例の2種類の菌種同定に有用であり,今後の皮膚糸状菌同定の技術を補完できると考えられる.

陰囊の紅斑より診断しえた第Ⅱ期梅毒の1例

著者: 村上真依 ,   岡大五 ,   林宏明 ,   山本剛伸 ,   田中了 ,   藤本亘

ページ範囲:P.899 - P.903

要約 30歳台,男性.初診3週間前から陰囊に疼痛と灼熱感を伴う紅斑が出現.近医でステロイド外用剤やインドメタシン外用剤を処方されたが改善せず当科を紹介受診した.外用剤では難治の湿疹・皮膚炎を考え,少量のプレドニゾロンを内服したが改善しなかった.陰囊の紅斑から梅毒を鑑別に考えて血液検査を施行したところ,梅毒血清反応検査(RPR,TPLA)はともに陽性.皮膚病理組織では表皮の肥厚とともに真皮の血管周囲にリンパ球,形質細胞の浸潤が認められた.第Ⅱ期梅毒と診断しアモキシシリンの内服を開始したところ症状は速やかに改善した.陰囊のびらんと落屑を伴う紅斑が第Ⅱ期梅毒疹の皮膚症状として出現する可能性について認識しておくべきと思われた.

左足底に生じた結節性偽痛風の1例

著者: 小田俊輔 ,   伏間江貴之 ,   角田朝子 ,   高杉亜里紗 ,   川北梨乃 ,   白石淳一 ,   吉田哲也

ページ範囲:P.905 - P.909

要約 68歳,女性.初診6年前に左足底に皮下腫瘤を自覚.増大傾向で疼痛を伴うようになったため,初診3年前に他院皮膚科を受診した.無治療で経過観察をされていたが,疼痛が増強したため当科初診した.初診時,左足底に径約3cm大の圧痛を伴う弾性硬〜石様硬の皮下腫瘤を認めた.超音波検査では比較的境界明瞭で内部不均一な低エコー病変で,石灰化像は認めなかった.部分生検の病理組織像では,真皮の広範囲に裂隙を伴う好酸性の無構造物質と,それに対する異物反応を認めており,痛風結節や結節性偽痛風を疑った.疼痛が残存するため腫瘍全摘出術を施行.偏光顕微鏡でピロリン酸カルシウム結晶を確認し,結節性偽痛風と診断した.結節性偽痛風と痛風結節との鑑別には偏光顕微鏡の所見が必須であるため,生検時にチョーク状物質を認めた際にはホルマリン固定を行わないよう検体処理に注意を要する.

Reticular erythematous mucinosisの1例

著者: 西川哲史 ,   武田芳樹 ,   平山真帆 ,   川内康弘

ページ範囲:P.910 - P.914

要約 41歳,男性.1年前より前胸部に暗紫色斑が出現し,徐々に拡大した.瘙痒等の自覚症状はなかった.病理組織では,真皮の血管周囲・付属器周囲に稠密なリンパ球主体の炎症細胞浸潤があり,真皮浅層の膠原線維間の開大がみられた.アルシアンブルー染色で,真皮浅層の膠原線維間にムチンの沈着がみられた.以上の臨床所見および病理組織学的所見より,reticular erythematous mucinosis(REM)と診断した.REMの原因は明らかでないが,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)と合併したという報告は多い.経過観察中,SLEを発症した例もあり,自験例では抗核抗体は陰性であったが,定期的な経過観察を要すると考えられる.また,確立された治療法はないが,抗マラリア薬が有効である可能性が報告されている.自験例では自然軽快がみられており,過去にも自然軽快例があることから,本症において経過をみるというオプションもありうる.

免疫組織化学染色にてミスマッチ修復遺伝子の変異を推定できたMuir-Torre症候群の1例

著者: 望月珠江 ,   常深祐一郎 ,   石黒直子

ページ範囲:P.915 - P.919

要約 50歳,男性.X−3年に胸部の脂腺腫,X年に右側頭部の脂腺癌を切除した.X年に頭部および顔面に黄色から紅色の結節が出現し,増数した.頭部と顔面の結節は,病理組織学的に真皮内に境界明瞭な結節状病変があり,細胞質が泡沫状で核小体の目立つ核をもつ細胞が密に増殖していた.細胞の大きさには大小あり,核分裂像が散見し,切除した3個の結節すべてを脂腺癌と診断した.免疫組織学染色でMLH1MSH6の遺伝子産物に対する抗体では腫瘍細胞は染色されず,変異が疑われた.Muir-Torre症候群の診断基準は満たさなかったが,ミスマッチ修復遺伝子の変異が推定され,内臓悪性腫瘍の発生を念頭においた経過観察を行ったところ,X+3年に結腸癌が発生した.この時点で診断基準を満たした.多発する脂腺系腫瘍ではミスマッチ修復遺伝子の検索を行い,異常があった場合は,内臓悪性腫瘍の出現に留意してフォローする必要がある.

臨床統計

乾癬患者におけるアダリムマブ治療継続率—熊本大学における検討

著者: 渡邉千夏 ,   梶原一亨 ,   市原麻子 ,   尹浩信

ページ範囲:P.921 - P.924

要約 当科でアダリムマブによる治療を行った乾癬患者の継続率,中止理由を検討した.後ろ向き研究で,アダリムマブ初回投与から1年以上経過した尋常性乾癬,関節症性乾癬患者31人を対象とした.男性25例,女性6例,開始時年齢は52.4±12.5歳,投与前PASI 11.4±12.0であった.尋常性乾癬,関節症性乾癬を合わせた全患者の1年継続率は67.7%,2年継続率は50.0%であった.治療継続中央値は尋常性乾癬で88.0週,尋常性乾癬および関節症性乾癬合計で102.5週であった.また初回投与から1年経過した患者の投与中止理由の内訳は,70.0%が効果不十分,20.0%が有害事象,10.0%がその他であった.初回投与から2年経過した患者の投与中止理由の内訳は,58.3%が効果不十分,16.7%が有害事象,25.0%がその他であった.その他には,転居や自己中断が含まれた.有害事象による中止理由の内訳は治療開始から1年経過した患者では蜂窩織炎,投与部位の発赤腫脹が1例ずつ,2年以上経過した患者では間質性肺炎,毛包炎を1例ずつ認めた.

マイオピニオン

乾癬治療における病診連携—理想と現実の狭間

著者: 橋本由起

ページ範囲:P.848 - P.849

 1. 乾癬治療の進歩
 近年乾癬治療の進歩は目覚ましく,特に乾癬治療薬のうち生物学的製剤(以下,バイオ)は最先端のバイオテクノロジー技術を用いて生成された薬剤である.わが国では2010年1月にインフリキシマブとアダリムマブが登場し,その後もさまざまな生体内物質を標的としたバイオが発売されている(8剤,2019年8月19日現在).
 バイオの治療効果は既存の治療法と比較し即効性があり,皮疹への治療効果はもちろんのこと,今まで難治性であった乾癬性関節炎,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症などに対する有効性も高く,乾癬患者のQOL向上に寄与していることは間違いないと考える.しかし,薬剤費は決して安価ではなく,患者負担と医療費増加の要因となっていることも現実である.

連載 Clinical Exercise・146

Q考えられる疾患は何か?

著者: 大内健嗣

ページ範囲:P.845 - P.846

症例
患 者:29歳,男性
主 訴:顔面の紅色結節
生活歴:28歳まで東南アジアに居住していた.
現病歴:初診3か月前から顔面左側に紅色隆起性結節が出現し,徐々に増数・増大した(図1a).左側頭部や結節で囲まれている部分に特に触覚・温痛覚の鈍麻を認め,左大耳介神経の肥厚も触知した(図1b).初診2週間後には皮疹部の腫脹,疼痛の増強があり,閉眼困難,口角下垂などの神経障害の増悪を認めた.

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目次

ページ範囲:P.841 - P.841

欧文目次

ページ範囲:P.843 - P.843

文献紹介

ページ範囲:P.882 - P.882

書評

ページ範囲:P.925 - P.925

次号予告

ページ範囲:P.927 - P.927

あとがき

著者: 朝比奈昭彦

ページ範囲:P.930 - P.930

 15年ほど前までは,臨床写真と言えばフィルムカメラで撮影した映写スライドであった.医局の財政支出の中でも,カラーフィルム代と現像代が一定の割合を占めていた.スライド1枚1枚に患者情報を記載する単調な作業にうんざりしていたことを思い出す.撮影が成功したかどうかは,現像して完成したスライドを確認するまでわからないため,いつもハラハラしていた.フィルムを巻き上げてカメラの背中を開けたら,なぜか目の前に巻き上げ損ねたフィルムが鎮座していて,露光により写真を台無しにした苦い経験が何度あったことか.ストロボの不調など,カメラが予期せぬ不具合を起こしていたためにフィルム数本分の記録が飛んでしまい,学会発表を断念したことさえ珍しくなかった.
 そのために,写真撮影は緊張を伴う作業であった.手軽でなかったからこそ,できるだけ良い写真を撮ることに腐心していた.患者さんのための記録を残す目的はもちろんのこと,カメラを構えた時点で学会発表にも耐えられることを大いに意識した.撮影後のトリミングは二度手間になるため,下着を含めて余分なものが映り込まないよう,構図に細心の注意を払っていた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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