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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻11号

2019年10月発行

文献概要

症例報告

クラゲ刺傷によって発症したと考えられた納豆アレルギーの1例

著者: 木下ひとみ1 中村吏江1 幸絢子1 天野愛純香1 白石剛章2 森本忠雄3

所属機関: 1呉医療センター・中国がんセンター皮膚科 2岩国医療センター形成外科 3森本医院

ページ範囲:P.863 - P.867

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要約 62歳,男性.賞味期限切れの納豆を摂取し,蕁麻疹と血圧低下を生じた.大豆製品を日常的に摂取し問題ないこと,クラゲ刺傷の既往があったことから,クラゲ刺傷によって生じた納豆アレルギーを疑った.クラゲ刺傷によってポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)に感作されるが,納豆の粘稠物質にもPGAが含まれており,このPGAは納豆の発酵過程で経時的に増加すると考えられている.そこで賞味期限内および賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,大豆の水煮,ミズクラゲ,PGAを用いてプリックテストを施行した.賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,PGAで陽性であり,PGAによるアナフィラキシーショックと診断した.PGAは医薬品で使用されるほか,食品や化粧品等広い分野で使用されているため,原因不明のアナフィラキシーでまず疑うことが大切であり,クラゲ刺傷の既往や詳細な食事歴の聴取が重要である.

参考文献

1) Weber J:J Biol Chem 265:9664, 1990
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8) 森 里美,他:日小児アレルギー会誌 30:465, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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