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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻11号

2019年10月発行

文献概要

症例報告

Transient acantholytic dermatosis(Grover病)の1例

著者: 河合匡子1 市村知佳1 木村理沙1 松井彩乃1 工藤由美子2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科 2たんぽぽ皮膚科クリニック

ページ範囲:P.869 - P.873

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要約 85歳,女性.2か月前に庭で草花を触った後より両前腕,手背に瘙痒のある小水疱,紅斑が出現した.ジフルプレドナート外用し,2週間で軽快した.その後,頸部に環状の紅斑が出現し同剤外用で一度は軽快するも皮疹が再燃したため当院を紹介受診した.真菌鏡検,皮膚細菌培養検査は陰性,血清抗BP180-NC16a抗体,抗デスモグレイン1,3抗体は陰性であった.頸部の紅斑より皮膚生検を施行したところ病理組織標本で表皮の基底層直上に裂隙形成と棘融解を認めた.直接・間接蛍光抗体法はともに陰性であった.以上よりtransient acantholytic dermatosis(Grover病)と診断した.最初にGrover病が報告された際に誘発因子として日光曝露が挙げられていたが,自験例においては非露光部にも皮疹が出現していることや冬季に発症していることなど合致しない点も多く,複数の誘発因子が存在すると考えられる.

参考文献

1) Grover RW:Arch Dermatol 101:426, 1970
2) Parsons JM:J Am Acad Dermatol 35:653, 1996
3) 清原隆宏:Visual Dermatol 7:1381, 2008
4) Chalet M, et al:Arch Dermatol 113:431, 1977
5) Grover RW and Rosenbaum R:J Am Acad Dermatol 11:253, 1984
6) Scheinfeld N and Mones J:J Am Acad Dermatol 55:263, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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