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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻11号

2019年10月発行

文献概要

症例報告

MALDI-TOF MSにより菌種同定ができたMicrosporum canisによる体部白癬とTrichophyton interdigitaleによる足白癬の合併例

著者: 要石就斗1 後藤和哉1 小川万里依1 田邉洋1 阿部教行2

所属機関: 1天理よろづ相談所病院皮膚科 2天理よろづ相談所病院臨床検査部

ページ範囲:P.893 - P.898

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要約 48歳,女性.ステロイド外用,内服治療により増悪した顔面,頸部,下肢の浸潤性紅斑を主訴に受診した.頸部,下肢,足趾間の鱗屑のKOH直接鏡検陽性.頸部,下肢から分離された菌に対して,形態学的同定,分子生物学的同定に加え,MALDI-TOF MSによる同定を併用し,いずれもMicrosporum canisと同定した.自宅で飼育中のネコからも同様の方法で,M. canisを同定し感染源と考えた.また,趾間の鱗屑から分離した菌は,形態学的,MALDI-TOF MSによる検討を行い,Trichophyton interdigitaleと同定した.治療はテルビナフィン塩酸塩を内服し,2か月の経過で治癒した.同一個体に対して,2種類の異なる菌種がそれぞれに病原性を持って共存することは興味深く,MALDI-TOF MSは自験例の2種類の菌種同定に有用であり,今後の皮膚糸状菌同定の技術を補完できると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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