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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

症例報告

透析シャント部位に一致したKöbner現象をきたしイキセキズマブが奏効した膿疱性乾癬の1例

著者: 渡邉千夏1 梶原一亨1 尹浩信1

所属機関: 1熊本大学大学院皮膚病態治療再建学分野

ページ範囲:P.947 - P.949

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要約 53歳,男性.既往歴は狭心症および慢性腎不全にて血液透析導入中.22歳時に皮疹を自覚したが放置していた.48歳時に,39℃台の発熱と略全身に膿疱を伴う紅斑が出現し,皮膚生検で不全角化を伴う表皮肥厚および,Kogoj海綿状膿疱を認め,膿疱性乾癬の診断となった.インフリキシマブによる治療を開始し,63か月間は症状安定していたが,間質性肺炎を併発し,中止となった.外用治療を継続するも,シャント部位にKöbner現象を生じ,透析に支障が生じた.イキセキズマブによる治療を開始し(イキセキズマブ導入前PASI 5.5),2週間後には透析シャント部のKöbner現象の皮疹も消失し,PASI 0.8にまで改善した.シャント部位に生じるKöbner現象についての報告はなく,当院の症例を検討したところ,自験例を含め,後方視的に解析できた同様の症例は3例であった.透析維持が困難なほどの症例はここに供覧した1例のみで,イキセキズマブが有効であった.

参考文献

1) Köbner H:Vjschr Dermatol Syph 8:559, 1876
2) 梶原一亨:皮膚病診療 36:337, 2014
3) 植木宏明:Visual Dermatol 8:14, 2009
4) 宮地良樹,他(編):皮膚科診療プラクティス,16巻,文堂堂,p61, 2004
5) Eyre RW, Krueger GG:Br J Dermatol 106:153, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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