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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

症例報告

角化性紅斑と疣状結節を呈する扁平苔癬の経過中に生じたlichen planus pemphigoidesの1例

著者: 宮川秀美1 福山雅大1 早川順1 石田正2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2井の頭公園前ヒフ科

ページ範囲:P.957 - P.963

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要約 84歳,女性.10年前より軀幹,四肢に扁平隆起する紫紅色斑が出現し,病理組織学的に扁平苔癬と診断され,ステロイド外用とエトレチナート内服にて軽快した.半年前より全身に角化性紅斑,疣状結節が多発し,下肢に緊満性水疱,頭部では脱毛を生じたため当科を受診した.角化性紅斑部では病理組織学的に表皮および顆粒層の肥厚と,真皮浅層の帯状のリンパ球浸潤がありhypertrophic lichen planusと診断した.一方,水疱部では表皮下の裂隙と,真皮浅層にリンパ球と多数の好酸球を主体とする炎症細胞浸潤がみられた.抗基底膜抗体陽性,蛍光抗体直接法にてC3が基底膜に線状に沈着,抗BP180抗体陽性であったことからlichen planus pemphigoidesと診断した.自験例の水疱形成の機序として先行する扁平苔癬のため表皮真皮境界部に激しい炎症細胞浸潤が長期間存在した結果,基底膜を構成する分子が露出し,抗基底膜抗体が産生されたと推察した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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