icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

症例報告

ダーモスコピーにて橙黄色領域に蛇行状血管がみられた皮膚限局性結節性アミロイドーシスの1例

著者: 八谷美穂1 小松広彦1 久保亮治2 永井俊弘3 田中勝4 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 3慶應義塾大学医学部電子顕微鏡研究室 4東京女子医科大学東医療センター

ページ範囲:P.978 - P.982

文献購入ページに移動
要約 68歳,男性.1か月前から左こめかみに約3cm大の境界明瞭で光沢を呈する鮮紅色から橙黄色の腫瘤があった.初診時,ダーモスコピーで橙黄色領域上に蛇行状血管が散見された.付属器系腫瘍,黄色腫,アミロイドーシス,サルコイドーシスなどを疑い生検を施行したところ,病理組織像で真皮全層に弱好酸性の無構造物質のびまん性の沈着がみられ,これらは特殊染色でアミロイドと判明した.合併症はなく,皮膚限局性結節性アミロイドーシスと診断した.ダーモスコピー所見が記載されている本疾患の報告は,国内外で自験例を含めて3例のみであった.いずれもびまん性の橙黄色から淡紅色の領域に蛇行伸長する血管が散見されたが,色調にばらつきがあり,特異的な所見はなかった.自験例のダーモスコピー像は,背景に境界不明瞭な黄色領域があるものの,黄色味は弱く,脂腺系腫瘍や黄色腫よりもアミロイドーシスやサルコイドーシスなどを想定しえた.ダーモスコピーは非侵襲的で簡便な検査であり,臨床像の類似する鑑別疾患を絞るために,非色素性病変においても積極的に使用すべきであり,今後の同様の症例の蓄積が望まれる.

参考文献

1) Sipe JD, et al:Amyloid 17:101, 2010
2) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 アミロイドーシスに関する調査研究班:アミロイドーシス診療ガイドライン2010, 2010
3) Brownstein MH, Helwig EB:Arch Dermatol 102:8, 1970
4) Woollons A, Black MM:Br J Dermatol 145:105, 2001
5) Moon AO, et al:Arch Dermatol 139:1157, 2003
6) Kaltoft B, et al:Dan Med J 60:A4727, 2013
7) Chuang YY, et al:Br J Dermatol 167:548, 2012
8) 向井秀樹:皮膚病診療 35:347, 2013
9) Rongioletti F, et al:J Am Acad Dermatol 74:e9, 2016
10) 林 郁伶,他:皮膚病診療 35:351, 2013
11) Satomura H, et al:J Dermatol 44:1313, 2017
12) 松田秀則,他:臨皮 72:255, 2018
13) Suzaki R, et al:Dermatol Res Pract 2010:192371, 2010
14) 進藤翔子,他:臨皮 71:225, 2017
15) 山口美由紀,他:臨皮 62:234, 2008
16) Ramadan S, et al:Dermatol Pract Concept 6:17, 2016
17) Chauhan P, et al:Indian Dermatol Online J 9:80, 2018
18) Hu SC, et al:J Dermatol 42:1201, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?