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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

症例報告

進行性乳癌に対するフルベストラント筋肉注射後に生じた臀部皮膚潰瘍の1例

著者: 磯貝理恵子1 吉岡希1 山田秀和1 湯川真生2

所属機関: 1近畿大学奈良病院皮膚科 2近畿大学奈良病院乳腺外科

ページ範囲:P.1002 - P.1006

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要約 74歳,女性.右側閉経後進行性乳癌(T4bN3M1)に対してフルベストラントの投与中であった.4週ごとに左右の臀部に1筒ずつ筋肉内投与をしていた.投与開始から1年後,右臀部の筋肉内注射では痛みはなかったが,左臀部の注射時に今まで経験がない疼痛があった.逆血はなく,抜針後に少量の流血があり,皮下出血を認めた.周囲に軽度の発赤を伴っていた.軽快しないため,1週間後に当科を紹介された.紹介時同部には黒色痂皮が付着しており,潰瘍を形成していた.フルベストラントの筋肉注射による皮膚潰瘍と考えた.上皮化には約4か月を要した.自験例では筋注時に皮下への薬液漏れがあったことと,臨床像で皮下出血を伴っていたことから注射時に血管損傷や血腫形成が生じたため,潰瘍を形成したのではないかと推察した.フルベストラントは潰瘍形成の報告例がほとんどない薬剤であるが,誤って皮下に投与すると潰瘍化する可能性があり,筋注は慎重に行うべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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