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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

症例報告

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の加療中に皮下結節として認められた男性乳癌の1例

著者: 笠ゆりな1 岩橋ゆりこ1 大草健弘1 金澤あずさ1 宇野裕和1 中田土起丈1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院皮膚科

ページ範囲:P.1007 - P.1011

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要約 74歳,男性.完全寛解したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の経過観察中であった.皮膚科初診1年前に左胸部に皮下結節が出現し徐々に増大した.左乳輪下に径30mmの下床との可動性が良好な皮下結節を触知した.CTでは被膜に包まれた低信号域の境界明瞭な結節を認めた.4か月後に擦過時に疼痛を自覚するようになり,6か月後に摘出した.組織学的に皮下脂肪織に線維性の壁を有する囊胞性病変が存在し,囊胞内の一部では腺房様配列を示す腫瘍細胞の乳頭状ないしは結節状増殖が認められた.周囲には乳管様腺管を認めた.腫瘍細胞はp53陰性で,CK5/6,CK14陽性細胞は少数であったが,ER,PgR染色では90%が陽性を呈した.以上の所見より非浸潤性乳管癌の一亜型である囊胞内乳頭癌と診断した.乳癌は男女差が顕著であり,男性患者では積極的に鑑別に挙がりにくい疾患であるが,乳輪下に生じた結節に対しては念頭に置く必要がある.

参考文献

1) 日本乳癌学会(編):全国乳がん患者登録調査書報告—確定版—第45号2014年次症例
2) 遠藤香代子:日臨外会誌 76:52, 2015
3) 佐藤純子,他:臨皮 67:981, 2013
4) 松田 実,他:日臨外医会誌 58:513, 1997
5) 武藤 潤,他:日臨外会誌 69:1606, 2008
6) 藤井清香,他:乳癌の臨 23:305, 2008
7) 津田 均:乳癌の臨 27:553, 2012
8) 小林 隆,他:日臨外会誌 64:1566, 2003
9) 山田陽三,他:臨皮 68:1059, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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