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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻12号

2019年11月発行

文献概要

治療

認知症高齢者グループホーム入所者における疥癬集団発生例—ステロイド外用薬を投与したため再燃した患者が感染源となった事例

著者: 伊藤算昭1 谷口裕子1 松尾典子1 大滝倫子1 廣瀬至2

所属機関: 1九段坂病院皮膚科 2廣瀬皮膚科

ページ範囲:P.1012 - P.1018

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要約 認知症高齢者グループホームにおいて角化型疥癬5名(1名は他院で診断・治療後死亡),通常疥癬9名が発症した事例を経験した.感染源と思われる角化型疥癬患者は膜性腎炎のためステロイド5mgを内服中で,1年前に近医で疥癬と診断され,疥癬治療の1か月後より湿疹の診断で全身にステロイドを外用していた.疥癬患者13名の治療としては,角化型疥癬ではイベルメクチン内服あるいはフェノトリン外用を合計4〜6回実施した.通常疥癬では3例は2回で治癒したが,6例は3〜6回の投与が必要であった.通常疥癬で5〜6回投与した患者は,疥癬トンネルの多い症例(通常疥癬の重症型),認知症のため診察・外用を拒否する患者であった.治療期間の短縮のため,症例によっては内服・外用の併用,疥癬トンネル多発部位へのフェノトリンの連日塗布を考慮したほうが良い場合もあると思われた.

参考文献

1) 大滝倫子,他:臨皮 59:692, 2005
2) 石井則久,他:日皮会誌 125:2023, 2015
3) 谷口裕子,他:日皮会誌 127:2469, 2017
4) 谷口裕子:皮膚臨床 58:905, 2016
5) Ohtaki N, et al:J Dermatol 30:411, 2003
6) 樹神元博,他:臨皮 55:273, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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