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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻13号

2019年12月発行

症例報告

再検で判明した第XIII因子低下を補正し紫斑の改善をみた治療抵抗性IgA血管炎の1例

著者: 青木孝司1 福山雅大1 水川良子1 林田真理2 久松理一2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部消化器内科学教室

ページ範囲:P.1042 - P.1046

文献概要

要約 25歳,男性.初診2日前より腹痛,関節痛とともに両下腿に皮疹が出現した.初診時,両下肢に浸潤を触れる紫斑が散見された.第XIII因子活性は94%であった.組織学的に真皮浅層の白血球破砕性血管炎がみられ,蛍光抗体直接法にて血管壁にIgAの沈着がありIgA血管炎と診断した.安静にて紫斑は改善したが,腹痛が持続し,その後,紫斑が再燃した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸潰瘍がみられたためプレドニゾロンの内服を開始した.腹痛は速やかに軽快したが,紫斑は難治であった.第XIII因子活性を再検したところ60%と低下しており,補充療法を施行し紫斑は速やかに消失した.現在,皮疹に対する第XIII因子補充療法の有効性を支持する明確なエビデンスはないが,自験例のように紫斑のみが難治である場合でも,第XIII因子活性が低下していた場合には補充療法が奏効する可能性があるため,経過により再検する必要があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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