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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻13号

2019年12月発行

症例報告

肺移植後に発症したMycobacterium abscessusによる非結核性抗酸菌症の1例

著者: 前琴絵1 大谷稔男1 山形昴2 時岡史明2

所属機関: 1倉敷中央病院皮膚科 2倉敷中央病院呼吸器内科

ページ範囲:P.1109 - P.1113

文献概要

要約 53歳,女性.肺移植を受けた2か月半後に,右下腿の紅斑が生じ,当科を受診した.病理組織学的に真皮の炎症性肉芽腫を認め,生検標本の培養で抗酸菌が発育した.質量分析装置でMycobacterium abscessusと同定した.ほぼ同時期に行った喀痰培養でも同菌を検出したが,血液培養は陰性だった.胸腹部CTで異常所見は認めなかった.アミカシン,イミペネム・シラスタチン,クラリスロマイシンの併用療法を4週間行ったところ,皮疹は軽快し,喀痰培養も陰性化した.現在,クラリスロマイシン,ファロペネムナトリウム,レボフロキサシンの内服を3か月続けているが,再発はみられていない.臓器移植後に生じるMycobacterium abscessusの感染部位として,皮膚は稀でなく,播種性感染の初発症状となることもある.Mycobacterium abscessusによる非結核性抗酸菌症は難治例も多いため,早期に診断し治療を開始することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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