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症例報告
カルテオロール塩酸塩による接触皮膚炎の1例
著者: 布井春佳1 樋口哲也1
所属機関: 1東邦大学医療センター佐倉病院皮膚科
ページ範囲:P.107 - P.112
文献購入ページに移動要約 78歳,女性.初診の7年前から両眼瞼周囲に瘙痒を伴う紅斑,腫脹が出現し,ステロイド軟膏を外用するも増悪寛解を繰り返していた.2か月前から両頰,下顎部まで紅斑,紅色丘疹,小膿疱が拡大し,当院に紹介された.使用中の点眼液3剤のうち,パッチテストで陽性を示したβ遮断薬であるミケラン®点眼液による接触皮膚炎と診断した.点眼中止により症状は消失し,その後再発もみられていない.点眼液使用中に生じた眼瞼周囲の難治性湿疹症例では,アレルギー性接触皮膚炎の可能性を念頭に置き,パッチテストを施行すべきである.また,β遮断点眼液では多剤で交差反応の可能性や,同じ成分を含む内服薬でも薬疹を生じる可能性があるため,原因薬以外のパッチテストも施行し,今後使用可能なβ遮断点眼液やβ遮断内服薬を検討すべきである.
参考文献
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