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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻2号

2019年02月発行

文献概要

症例報告

全身性エリテマトーデスと抗ラミニン332型類天疱瘡の経過中に発症したST合剤による多発性固定薬疹の1例

著者: 小見川知佳1 端本宇志1 花房崇明1 並木剛1 井川健1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.123 - P.128

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要約 31歳,女性.全身性エリテマトーデスと抗ラミニン332型類天疱瘡に対し,プレドニゾロン10mg,タクロリムス5mg,ヒドロキシクロロキン200mgを内服していた.ST合剤の予防内服で肝障害の既往があり,内服を中断していた.2016年5月,ST合剤を内服再開.翌日に口唇の腫脹,口唇・口腔粘膜・陰部のびらんと水疱が出現した.四肢にも小紅斑が出現し,眼球結膜上皮障害も伴っていた.病変部の病理組織像では表皮細胞・粘膜上皮細胞に個細胞壊死,基底膜部の空胞変性があり,真皮浅層にリンパ球が浸潤していた.ST合剤内服の中止とステロイド全身投与により症状は改善した.ST合剤の薬剤リンパ球刺激試験は陰性であったが,皮疹部におけるST合剤のパッチテストが陽性となり,同時に非貼付部にも紅斑が誘発された.以上よりST合剤による多発性固定薬疹と診断した.固定薬疹は多彩なさまざまな臨床形態を示すことを再確認した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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