文献詳細
文献概要
症例報告
腋窩にHailey-Hailey病様の皮疹を呈したDarier病の1例
著者: 高橋亜由美1
所属機関: 1サンピエール病院皮膚科
ページ範囲:P.134 - P.138
文献購入ページに移動要約 70歳,男性.既往に統合失調症あり.30歳頃から頸部,軀幹に瘙痒を伴う紅斑が出現し,ステロイド外用にて軽快増悪を繰り返していた.数年前より腋窩にびらんを生じ,疼痛を伴うようになった.腋窩の皮膚生検で表皮細胞の棘融解を伴う裂隙形成を認め,また腹部の皮膚生検で表皮に裂隙形成と異常角化細胞を認めDarier病と診断した.臨床的に間擦部にびらんを呈する疾患としてHailey-Hailey病との鑑別を要した.両疾患ともにカルシウムポンプ異常を原因とする遺伝性疾患である.典型例では全く異なる臨床像をとるが,稀に類似した臨床像をとることがある.間擦部にびらんを伴う紅色局面を認めた場合,Darier病の可能性も考え全身の皮疹の有無を確認し積極的に生検を行う必要がある.
参考文献
1) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,7巻,中山書店,p160, 2002
2) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,7巻,中山書店,p206, 2002
3) Kakar B, et al:Dermatol Online J 13:28, 2007
4) Khaled A, et al:Dermatol Ther(Heidelb) 1:31, 2011
5) Sakuntabhai A, et al:Hum Mol Genet 8:1611, 1999
6) 高橋健造:皮膚病診療 34:305, 2012
7) 黛 暢恭,池田志斈:日皮会誌 116:21, 2006
8) 池谷茂樹,小出まさよ:皮膚病診療 30:1365, 2008
9) Mei S, et al:J Dermatol 27:673, 2000
掲載誌情報