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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻2号

2019年02月発行

文献概要

症例報告

足に生じた低色素性基底細胞癌の1例

著者: 後藤晴香1 嶋津苗胤1 松本賢太郎1

所属機関: 1静岡済生会総合病院皮膚科

ページ範囲:P.168 - P.172

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要約 76歳,男性.初診10年前より左足縁の皮疹を自覚していた.初診時,径25mmの鱗屑を伴う類円形紅斑を左足外側に認めた.ダーモスコピーではわずかに顆粒状の黒褐色領域を認める以外は,基底細胞癌を疑う所見は得られず,当初はBowen病を疑い生検した.病理組織学的所見では,表皮と連続して下方に突出する基底細胞様細胞からなる腫瘍胞巣,その辺縁に柵状配列を認め,表在型基底細胞癌と診断した.足部発症の無色素性あるいは低色素性基底細胞癌は稀であり,本邦での報告は自験例が2例目である.Fontana-Masson染色では,腫瘍内にメラニン顆粒を認めるものの,対照に用いた通常の色素性基底細胞癌と比較すると少量であった.低色素を呈した機序として,メラノサイトの絶対数低下や,メラニン産生の抑制が推測された.

参考文献

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10) 酒井あかり,他:Skin Cancer 32:53, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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