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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科73巻3号

2019年03月発行

雑誌目次

症例報告

ビカルタミドによる光線過敏型薬疹

著者: 井藤遥 ,   岩橋ゆりこ ,   笠ゆりな ,   濱田裕子 ,   宇野裕和 ,   中田土起丈

ページ範囲:P.200 - P.202

要約 83歳,男性.前立腺癌に対して7か月前よりビカルタミド,L-アスパラギン酸カルシウム水和物を投与された.初診10日前に手背に瘙痒を伴う発疹が出現したため,自己判断でビカルタミドを除くすべての薬剤を中止したが,皮疹は増悪し,両前腕,顔面にも拡大した.現症として,顔面,両前腕から手背に鱗屑,痂皮の付着を伴う暗紅色の浮腫性紅斑を認め,両頰部,前腕では腫脹を伴っていた.ビカルタミドを中止し,ステロイド外用を施行したところ,皮疹は6日後には軽快した.既報告例と照らし合わせ,ビカルタミドによる光線過敏型薬疹と診断した.本症には①内服開始1か月以上を経て発症,②症状は比較的軽度でステロイド外用のみで軽快,③UVBが作用波長と考えられているが,より高波長でも生じる可能性がある,④遮光により継続投与可能といった特徴がみられた.

エポキシ樹脂による職業性全身型接触皮膚炎の1例

著者: 福田浩孝 ,   伏間江貴之 ,   前川武雄 ,   小宮根真弓 ,   村田哲 ,   大槻マミ太郎

ページ範囲:P.203 - P.208

要約 41歳,男性.ソーラーパネル製作業務に従事し,ニトリルゴム手袋を使用していた.初診の3か月前から両手に紅斑が出現し,2か月前から全身に拡大した.初診時,顔面,体幹,四肢に紅斑と褐色色素斑が混在し,両手は背側優位に紅斑,鱗屑,苔癬化を認めた.ゴム手袋による接触皮膚炎症候群を疑い,ジャパニーズスタンダードアレルゲン(JSA)2008のゴム関連抗原のパッチテストを行ったがすべて陰性であった.プレドニゾロン5mg/dayを4週間内服し,職場の配置変更にて皮疹は軽快,以後再発を認めなかった.その後,ビスフェノールA/F型液状エポキシ樹脂の蒸気が出ていた職場環境が判明し,パッチテストを施行したところ,患者持参のエポキシ樹脂サンプル0.1% petとJSAのepoxy resin 1% petに陽性を示し,エポキシ樹脂による職業性全身型接触皮膚炎と診断した.職業性接触皮膚炎の診断においてさまざまな可能性を考えた詳細な問診の重要性を再認識した.

ハイカロリーゼリー摂取中の高齢者に生じた亜鉛欠乏症の1例

著者: 内田秀昭 ,   林耕太郎 ,   沢辺優木子 ,   田中周子 ,   清水輝夫 ,   石川武子 ,   鎌田昌洋 ,   大西誉光 ,   新井冨生 ,   近藤福雄 ,   多田弥生

ページ範囲:P.209 - P.214

要約 92歳,女性.3か月前より施設へ入所し,嚥下機能低下のために医療用のゼリー食のみの摂取で生活していた.7日前より頭部,両眼周囲に湿潤性紅斑が出現し,口,鼻,陰部に拡大した.顔面の開口部周囲と陰部に鶏卵大までの湿潤性紅斑と痂皮を伴うびらんがあり,右下腿前面には一部に小水疱と漿液性丘疹が混在する母指頭大までの散在性の湿潤性紅斑を認めた.血清亜鉛は12μg/dlと著明に低下していた.病理では表皮上層に裂隙様の表皮内水疱および海綿状態,真皮乳頭の浮腫があり,真皮上層の血管周囲性にリンパ球や好酸球を主体とした炎症細胞浸潤がみられた.亜鉛補充により血清亜鉛は正常範囲内となり,全身の皮疹も速やかに改善した.高齢化が進むわが国では嚥下調整食や経腸栄養剤に頼らざるを得ない場面も多く,栄養の偏った高齢者の皮膚炎を診療する際には本症も念頭に置く必要がある.

Stevens-Johnson syndrome without skin lesionsの1例

著者: 橋本啓代 ,   窪澤仁 ,   遠藤秀治

ページ範囲:P.215 - P.220

要約 14歳,男性.口唇と口腔内のびらん・疼痛,眼球結膜充血が出現し近医で内服薬を処方された.発熱と鼻出血が出現し当科を受診した.感染症や薬剤によるStevens-Johnson症候群やヘルペス性歯肉口内炎,固定薬疹を疑い,プレドニゾロンとバラシクロビルを投与し改善した.退院4か月後に同様の症状が出現した.初回と共通の内服薬や飲食物はないため固定疹は否定され,単純ヘルペス特異抗原検査陰性より,単純ヘルペス感染症も否定的と考えた.自験例のように粘膜を主病変とする症例は,Stevens-Johnson syndrome without skin lesionsやFuchs症候群と報告され,マイコプラズマ感染症が誘因となりうる.自験例は気道症状がなく再発時のマイコプラズマ抗体(PA法)320倍と単一血清での陽性のみであり,マイコプラズマが発症の誘因となった可能性は推測の域を出ない.

前頭筋に生じ骨膜への浸潤を認めたサルコイドーシスの1例

著者: 河合匡子 ,   中村元泰 ,   木村理沙 ,   野手康宏 ,   中道美保 ,   石河晃

ページ範囲:P.221 - P.226

要約 41歳,男性.初診4か月前に右前額部に径12mmの皮下結節を自覚し当院形成外科を受診した.局所麻酔下に生検を施行し病理組織標本で脂肪織,前頭筋内,前頭筋直下に非乾酪性肉芽腫を認めたため当科を紹介受診した.病理組織学的にサルコイドーシスと診断し頭部MRI検査を施行したところ頭蓋骨直上から脂肪織にかけて9×5mmの結節影を認めた.自然消退を期待し経過観察していたが,結節が増大したため当院脳神経外科へ依頼し,全身麻酔下に結節を摘出した.結節は骨膜内に存在し病理は生検時と同様にサルコイドーシスの所見であった.以上より前頭筋から生じ骨膜および脂肪織へ浸潤した腫瘤型筋サルコイドーシスと診断した.腫瘤型筋サルコイドーシスは四肢に生じることがほとんどであり顔面に生じた症例は本邦において自験例を含め3例のみと稀である.これまで骨膜や脂肪織へ浸潤した報告はなく前頭筋が非常に薄いため他組織へ浸潤したと推測した.

血漿交換療法と大量免疫グロブリン療法の併用が有効であった難治性水疱性類天疱瘡

著者: 磯貝理恵子 ,   西崎絵理奈 ,   大原裕士郎 ,   細本宜志 ,   山本容子 ,   吉岡希 ,   山田秀和 ,   丹正幸佑 ,   美馬晶

ページ範囲:P.227 - P.232

要約 83歳,男性.鼠径ヘルニア陥頓によるS状結腸壊死にてストマ造設術を受け,6か月後に人工肛門閉鎖術を行った.術後31日目に右前腕に水疱とびらんが出現した.蛍光抗体直接法で基底膜部にIgG,C3の沈着があり,抗BP 180抗体が陽性であり,手術を契機に発症した水疱性類天疱瘡と診断した.ステロイド内服・ミニパルス療法・免疫抑制剤・大量免疫グロブリン療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)を行うも抗体価が上昇し,紅斑・水疱が新生し続けたため,二重濾過血漿交換(double filtration plasmapheresis:DFPP)を7回行った.さらに症状再燃抑制のためIVIGを追加投与し,良好な結果が得られた.自験例では抗体が上昇し続けたにもかかわらず,DFPPの導入が皮疹出現から23週後になった.治療に伴う致命的な合併症の予防には,特に高齢者では,速やかに寛解状態にする必要がある.難治性の水疱性類天疱瘡に対してはDFPPを早期に積極的に導入すべきであった.

多彩な皮疹を呈し抗BP 180抗体陽性であった落葉状天疱瘡の1例

著者: 安達ルナ ,   武市拓也 ,   秋山真志

ページ範囲:P.233 - P.238

要約 74歳,男性.初診1年前から頭部,顔面に紅斑が出現した.近医を受診し,尋常性乾癬の診断で治療されたが症状の拡がりを認めたため,当科を紹介受診した.初診時,鱗屑,水疱,紅斑,びらん等,全身に多彩な皮疹を認めた.皮膚生検にて,表皮内水疱を認め,水疱内に好中球,棘融解細胞がみられた.直接蛍光抗体法にて表皮細胞間のIgGの沈着と,基底膜部のC3の沈着を認めた.血清中自己抗体検査(CLEIA法)にて,抗デスモグレイン1抗体が3,180U/mlと高値であった.抗BP 180抗体も33.8U/mlと陽性であった.以上の所見より落葉状天疱瘡と診断した.ステロイド単独治療では症状の改善に乏しく,免疫グロブリン大量静注療法の併用により病勢は制御できた.多彩な皮疹を呈している症例は診断が難しく繰り返し精査を行い,診断を確定し適切な治療を開始することが重要である.

Pasini-Pierini型進行性特発性皮膚萎縮症の1例

著者: 西川哲史 ,   原田和俊 ,   比留間淳一郎 ,   堺則康 ,   坪井良治 ,   川内康弘

ページ範囲:P.239 - P.243

要約 28歳,女性.20年前よりみられる右手背,右前腕,両下肢の褐色調で軽度陥凹する皮疹を主訴に来院.限局性強皮症でみられるような皮膚の硬化は伴わなかった.病理組織学的に表皮基底層のメラニン増加,真皮の菲薄化を認め,弾性線維の消失がないことからPasini-Pierini型進行性特発性皮膚萎縮症と診断した.本症は限局性強皮症の萎縮期と臨床的,病理組織学的に類似し,本症を限局性強皮症の亜型と捉える説もあるが,未だ一定の見解は得られていない.また,経過中に皮疹に硬化をきたす例や限局性強皮症との合併例が報告されていることから,本症の診断後も定期的な経過観察を要すると考える.原因や確立された治療法もなく,今後さらなる病態の解明が待たれる.自験例は無治療で1年間経過観察を続けているが,皮疹の新生や変化はなく経過している.

大腿基部に生じた懸垂性巨大線維脂肪腫の1例

著者: 金滋仁 ,   山田和哉 ,   石川真衣 ,   須藤麻梨子 ,   安田正人 ,   石川治

ページ範囲:P.245 - P.248

要約 54歳,男性.左大腿基部内側に皮下腫瘤を自覚し放置していたが,10年で徐々に増大,懸垂性となった.MRIでは,脂肪濃度を示す腫瘤の内部に結節状の低濃度領域が複数みられ,周囲の造影効果も強く,脂肪肉腫も疑われた.全切除標本では,成熟した脂肪細胞の増殖と膠原線維の増生がみられ,懸垂性巨大線維脂肪腫と診断した.懸垂性巨大線維脂肪腫は45歳以上に多くみられ,顔面や大腿に好発する.診断には,MRI所見が有用だが,自験例のように脂肪肉腫との鑑別が難しい例もあり,確定診断には病理組織学的検討が必須であると考えた.

ケラトアカントーマ様外観を呈した低色素性悪性黒色腫の1例

著者: 伊藤有亜 ,   福山雅大 ,   早川順 ,   大山学

ページ範囲:P.249 - P.253

要約 88歳,男性.初診5か月前より右耳後部に小結節が出現した.初診時,同部位に径8mm大のドーム状に隆起し中央に血痂を付す結節を認めた.臨床的特徴からケラトアカントーマを考えたが,ダーモスコピー所見では結節辺縁に色素性病変を示唆するgray-brown pigment structureを認めた.病理組織学的に異型な腫瘍細胞から成る腫瘍胞巣を認め,胞巣の一部にはメラニンが沈着していた.免疫染色所見とあわせ低色素性悪性黒色腫と診断した.低色素性悪性黒色腫はメラニン色素が少なく紅色調を呈するため,臨床的にケラトアカントーマとの鑑別を要することがある.自験例のようにダーモスコピーで色素性病変を示唆する所見をみた場合には経過観察とせず低色素性悪性黒色腫も念頭に置き全摘生検を積極的に検討することが重要であると考えた.

右前脛骨部リンパ節に転移を生じた右足底末端黒子型黒色腫の1例

著者: 近藤佐知子 ,   井ノ口早苗 ,   伊藤宗成 ,   延山嘉眞 ,   中川秀己

ページ範囲:P.254 - P.258

要約 63歳,女性.2年前から出現した右足底の黒色斑を主訴に当院を受診した.末端黒子型悪性黒色腫を疑い,悪性腫瘍切除術およびセンチネルリンパ節生検術を施行した.病理組織学的にtumor thickness 2.2mm,センチネルリンパ節は転移なく悪性黒色腫stage ⅡA(pT3N0M0)と診断した.術後75か月目に右大腿部に12mm大の皮下結節が出現した.右大腿部リンパ節intransit metastasisと診断し右大腿病変部と右鼠径リンパ節を一塊として切除した.その後術後96か月後に右前脛骨部に10mm大の皮下結節が出現した.同病変切除生検病理組織像で右前脛骨部リンパ節interval node metastasisと診断した.前脛骨部にinterval node metastasisを認めた報告はなく,局所的なリンパ節切除によりリンパ流の経路が変更され,リンパ流の速度を低下させたことによって,非典型的な解剖学的部位の転移がもたらされたと考えられた.術後の診察時にはリンパ流に沿った触診が重要である.

脂漏性角化症の病変内に生じた基底細胞癌の1例

著者: 安藤はるか ,   猿田祐輔 ,   渡辺秀晃 ,   佐々木陽介 ,   矢持淑子 ,   末木博彦

ページ範囲:P.259 - P.263

要約 59歳,男性.初診約3か月前に右臀部に黒褐色斑を自覚.徐々に拡大し当科を受診.初診時,右臀部に8×7mm大の扁平隆起性黒褐色小結節,ダーモスコピーでcomedo-like openings, multiple milia-like cystsを認め,脂漏性角化症と診断.病理組織で異型の乏しい基底細胞様細胞の増殖と偽角質囊腫がみられ,大部分は脂漏性角化症の病変.一部では好塩基性の核異型を伴う基底細胞様細胞が胞巣を形成しながら増殖しており,胞巣辺縁部では柵状配列および裂隙を形成して基底細胞癌の所見を認めた.両者の病変は連続性があり,自験例は病理組織学的に脂漏性角化症の病変内に基底細胞癌が生じた症例と考えた.2000年以降に報告された脂漏性角化症と基底細胞癌の併存例について臨床的特徴を検討したところ,両者の合併の頻度はきわめて低いものの,出血・潰瘍・光沢は悪性腫瘍の合併を示唆する所見と考えられた.

老人性血管腫の皮膚生検より診断しえた血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

著者: 椎山理恵 ,   長田俊佑 ,   長村義之 ,   石橋正史

ページ範囲:P.265 - P.270

要約 90歳,女性.2018年11月初旬に39℃の発熱,呼吸苦が出現した.精査加療目的に内科へ入院し,各種検査を行ったが原因不明であり,抗菌薬投与を継続したが38℃前後の発熱は継続した.血液検査にてLDH 512U/l,可溶性IL-2レセプター2,550U/mlと高値を示したことから入院14日目に血液内科へコンサルトしたところ血管内リンパ腫が疑われた.当科に皮膚生検依頼あり,軀幹・四肢の老人性血管腫6か所より皮膚生検を実施した.いずれの検体からも真皮浅層,真皮深層,脂肪織内の血管内にCD20およびCD79a陽性の異型リンパ球を認め,血管内大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.治療は減量R-CHOP療法を開始し,奏効した.本疾患の診断には生検が必須であり,比較的安全に施行できるランダム皮膚生検の有用性の報告が多い.老人性血管腫の生検の陽性率の高さと有用性を支持する結果であり,老人性血管腫を認める際は積極的に生検を施行すると陽性率が上がると考えた.

CD4CD8菌状息肉症患者に生じた皮膚クリプトコックス感染症の1例

著者: 湊はる香 ,   工藤比等志 ,   為金現

ページ範囲:P.271 - P.276

要約 83歳,女性.全身の瘙痒を伴う紅斑で当科を受診した.皮膚生検および骨髄生検にてCD4CD8菌状息肉症と診断した.紫外線療法や抗悪性腫瘍薬で治療中に左上肢に蜂窩織炎を発症,その後,左前腕に皮下硬結が生じた.菌状息肉症の腫瘤を疑い生検したところ,皮下に多数のCryptococcus neoformansを認めた.他臓器には病変を認めなかったため,原発性皮膚クリプトコックス感染症と診断しイトラコナゾール内服療法で治療を開始した.徐々に左上肢の発赤と腫脹は改善し,皮下硬結も縮小した.過去の報告例によると,皮膚クリプトコックス症の皮膚症状は多彩であり,蜂窩織炎様の症状を呈することも多い.免疫抑制状態にある患者の蜂窩織炎をみた際には,皮膚クリプトコックス症も念頭に置いて治療にあたることが必要と考えられた.また,他臓器に病変がないかどうかは,画像検査のみで判断するのではなく各種培養検査や髄液検査なども積極的に行って確認する必要がある.

マイオピニオン

新天地に赴任される先生方や教授を目指している先生方へ

著者: 川上民裕

ページ範囲:P.198 - P.199

 この度,2018年10月より東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室主任教授を拝命致しました.そして赴任してから早,半年が経過しました.今回,「マイオピニオン」執筆のお話しをいただき,私のように,今後,新天地に赴任される先生方や教授を目指している先生方の参考になれば,という気持ちで執筆します.
 私の生まれは東京浅草で,中学高校も下町の質実剛健をモットーとした男子校でした.浅草は下町として江戸時代から栄えた地域であり,その伝統から,1年中お祭りがありました.幼少の頃は,日本はどこでも毎月のようにお祭りがあるんだ,と思っていたくらいです.浅草は都会であり,都会の喧騒がごく普通の当たり前の環境の下で中学生まで成長しました.高校入学時に,一家は千葉県松戸市に転居しました.松戸は東京のベッドタウンとして東京都とは江戸川を挟んで接した千葉県北西部に位置します.東京の中心である浅草と比較すると,やや内陸に位置しますので,転居して初めて迎えた冬は,東京より寒いな,と憂鬱な気分になった記憶があります.元来,寒さは苦手であり,今回,仙台に異動しての不安な要因の1つに寒さがありました.ちなみに今年の仙台の冬は,噂に聞いていたのとは異なり,雪が積もることもなくほっとしております.

連載 Clinical Exercise・139

Q考えられる疾患は何か?

著者: 岡本崇

ページ範囲:P.195 - P.196

症例
患 者:80歳,女性
主 訴:左腋窩の紅斑
家族歴・既往歴:特記すべきことなし.
現病歴:初診の10年前より左腋窩に鶏卵大の瘙痒を伴わない紅斑局面を認めた.近医にて処方されたステロイド外用薬を使用したが改善しないため,当院を受診した.
現 症:表面にわずかにびらんを伴う鶏卵大の自覚症状を伴わない紅斑局面を認め,局面内や皮疹の周囲には脱色素斑が散在していた(図1).

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目次

ページ範囲:P.191 - P.191

欧文目次

ページ範囲:P.193 - P.193

文献紹介

ページ範囲:P.238 - P.238

次号予告

ページ範囲:P.277 - P.277

あとがき

著者: 阿部理一郎

ページ範囲:P.280 - P.280

 編集委員となり2年半過ぎました.毎月多くの投稿をしていただいていますが,いくつか気になる点があります.
 まず,病理写真ですが,フォーカスがあっていないものや暗いものなど少しの注意で簡単に改善できるものが多くあります.臨床写真と違って撮り直すことができますので,ぜひ慎重に吟味してもらいたいです.更に大事な点は,本文に記載している病理所見と,提示した写真の病理所見が乖離しないようにすることです.もちろん所見のすべてが得られる部位を見つけるのは難しいかもしれませんが,疾患によっては特徴的な病理所見が診断に必須であり,少なくともその所見が認められる部位を提示するべきです.実際の診療における診断で,病理所見については議論されたはずですから,より読者の納得を得るようお願いします.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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