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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科73巻3号

2019年03月発行

症例報告

前頭筋に生じ骨膜への浸潤を認めたサルコイドーシスの1例

著者: 河合匡子1 中村元泰1 木村理沙1 野手康宏2 中道美保3 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科 2東邦大学医学部脳神経外科 3東邦大学医学部形成外科

ページ範囲:P.221 - P.226

文献概要

要約 41歳,男性.初診4か月前に右前額部に径12mmの皮下結節を自覚し当院形成外科を受診した.局所麻酔下に生検を施行し病理組織標本で脂肪織,前頭筋内,前頭筋直下に非乾酪性肉芽腫を認めたため当科を紹介受診した.病理組織学的にサルコイドーシスと診断し頭部MRI検査を施行したところ頭蓋骨直上から脂肪織にかけて9×5mmの結節影を認めた.自然消退を期待し経過観察していたが,結節が増大したため当院脳神経外科へ依頼し,全身麻酔下に結節を摘出した.結節は骨膜内に存在し病理は生検時と同様にサルコイドーシスの所見であった.以上より前頭筋から生じ骨膜および脂肪織へ浸潤した腫瘤型筋サルコイドーシスと診断した.腫瘤型筋サルコイドーシスは四肢に生じることがほとんどであり顔面に生じた症例は本邦において自験例を含め3例のみと稀である.これまで骨膜や脂肪織へ浸潤した報告はなく前頭筋が非常に薄いため他組織へ浸潤したと推測した.

参考文献

1) Otake S:AJR Am J Roentgenol 162:369, 1994
2) 厚生省びまん性肺疾患調査研究斑:サルコイドーシス.難病の診断と治療指針 厚生省保険医療局疾病対策課監修:2017
3) 大塚藤男,他:皮膚科学,10版,金芳堂,p492, 2016
4) 藤川沙恵子,他:臨皮 61:343, 2007
5) 中村透子,他:皮膚 37:306, 1995
6) Silverstein A, et al:Arch Neurol 21:235, 1969
7) 山本正彦:筋病変 最近のサルコイドーシス,現代医療社,p92, 1993
8) 寺嶋里実,他:臨皮 49:625, 1995
9) 斎藤佑希,他:日皮会誌 116:2273, 2006
10) Asbury AK, et al:Medicine(Baltimore) 48:173, 1969

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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